本記事では、教育機関・教室・塾の指導者向けSTEAM・プログラミング授業支援サービス「Springin’ Classroom(スプリンギンクラスルーム)」を使用しています。
また、今回の実践で使用したサンプルワークは、Springin’ Classroomから、こちらのQRを読み込むとダウンロード可能です。言葉や音声による学習履歴(スタディ・ログ)やプログラミングした太陽が動く様子がご覧いただけます。
各学校でのプログラミング教育の現状
2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化されプログラミング学習の注目度や認知度も高まってきています。しかし、何年生からどのようなことを学ぶのかといった具体的な内容は、学校内で明確に浸透していないというが現状ではないでしょうか。
文部科学省は、プログラミングに関する学習活動の6分類を示しています。
A分類「学習指導要領に例示されている単元等で実施するもの」に関しては、算数科や理科で多くの学校が実践されているようです。また、C分類「教育課程内で各教科等とは別に実施するもの」に関しても、総合的な学習の時間でプログラミングの体験学習をしたといった話をよく聞きます。
先生方が悩んでいるのはB分類「学習指導要領に例示されてはいないが、学習指導要領に示される各教科等の内容を指導する中で実施するもの」ではないでしょうか。「1人1台の端末を有効活用したい」「いろいろな学習場面で取り入れたい」「プログラミングを学習ツールとして使いたい」そのような思いをしている方も少なくないと思います。
今回も、現役の小学校の先生である杉田先生にお話を伺いました。今回紹介いただいたのは、理科での1人1台端末の活用。各教科の中での1人1台端末を活用したプログラミング。子どもたちがこれまでの学びを生かして、学習のまとめをどのようにプログラミングで表現するかがとても楽しみです。それでは、杉田先生、お願いします!
理科での1人1台端末を活用したプログラミング
みなさんこんにちは、杉田です。小学校の教員ですが、現在、長期社会体験研修員として、しくみデザインで研修をしています。先日、ICT活用の研究をされている、ある学校にお邪魔して一緒に授業をしてきました。今回はそこでの実践の様子を紹介します。
前回は、幼稚園でのスプリンギンを使った楽器づくりの実践を紹介しました。今回は、小学校3年生の理科「太陽と地面の様子」での実践です。影の様子を観察してわかった太陽の1日の動きを、スプリンギンを使って表現する活動です。理科での学びを確かにするためのプログラミングの活用を紹介します。最後まで、どうぞよろしくお願いします。
小学校3年生 理科「太陽と地面の様子」の学習
今回は、小学校3年生の理科「太陽と地面の様子」の学習です。この単元は、天気にも左右され、1日に何度も観察や記録を行う必要があるため大変ですよね。でも、子どもたちにとってはとても意欲的に取り組むことができる学習のひとつなのではないでしょうか。今回の実践は、クラス担任の先生のサポートという立場で関わらせていただきました。
まずは導入です。教科書にも紹介されている影ふみ遊びを通して、子どもたちは、影の向きがみんな同じことや、影の反対側に太陽があることに気づきました。影ふみ遊びをやっている最中、子どもたちは学習のことを考えてはいなかったでしょう。しかし、友だちがやっている様子を観察したり、写真を撮って教室で分析したりしながら、影と太陽の関係をしっかり調べることができました。
次に、時間との関係についてです。建物の影などの大きさや向きがいつも同じではないという生活体験があるため、観察することを通して時間と影の関係についてスムーズに理解することができます。
子どもたちは、時間とともに影が動くことや影の長さが変わることなどに気づくことができました。そして、観察から分かったことをノートに記録するだけではなく、スプリンギンで学習履歴(スタディ・ログ)を残していきます。スプリンギンでは、影の移ろいを写真に残したり、気づきを文字にして写真の説明として加えたり、観察や実験の考察を音声で記録して残したりすることができます。単元を通して複数のまとめのシートが出来上がります。さらに、いつでも簡単に振り返りの学習ができる点もスプリンギンのよいところです。
ここからは太陽の動きについてです。影の様子を調べることで、太陽の動きを知ることができます。9時、10時、12時、14時の影の反対側に太陽があることから、太陽は東の方から南の空を通り、西の方へ動いていくことが分かりました。
このように、1人1台端末をノートと鉛筆のように使うこともできます。色分けしながらまとめたり、音声で記録したり、絵や文字を動かして考えたりしながら、1人1台端末を活用して思考の整理を行えば、さらに多くの気づきがうまれるはずです。端末を見せながら友だちと交流することも、新しい交流のかたちかもしれません。