データから読み解く「withコロナ・afterコロナ」での運営
最初に登壇したのは、株式会社船井総合研究所(以下、船井総研)の北村拓也氏だ。
経営コンサルティング会社である船井総研は、教育と保育の分野に特化した保育・教育支援部を有しており、そこではプログラミング教室や学習塾などの事例をもとに、教室経営についてのサポートを行っている。
北村氏は、新型コロナウイルス対策としての各企業の対応は、おおむね3つあったと話す。1つ目は、オンラインでの代替えをせず補講もしないため、教育提供をできなかった完全休校のケース。2つ目は、オンライン授業を行ったもののクオリティが低く生徒の満足度が高くないケース。そして3つ目はオンラインを活用し、通常授業と同等かそれ以上のものを提供できたケースだ。
続いてコロナ禍における経営面への影響として、生徒の休会増加や新規加入者の減少があり、昨年対比で10~30%の売り上げの減少につながってしまったことを挙げた。一方で、高まったのがオンラインのニーズだ。アンケート調査によると、50%がオンラインを希望、あるいは許容というデータが出ており、そもそもの教育の構造が変わってきているという。
こうした状況の中、経営のポイントとしてどのような点を意識すればいいのか、北村氏は解説した。
まず、目の前の新規生徒数の最大化だ。内部生に対しては、学習と心理状況のケア、今後のプランを提示して、満足度を最大化させることが必要だという。プログラミング教室における既存生の退会が現在大きく起きていない理由として、北村氏は「たまたま周りに乗り換え先がなかっただけかもしれない。学習塾や英会話教室では、すでに乗り換えが始まっている」と注意を促した。その上で、新学期にあたる「春戦線」に入会しなかった層に向けて、「過去最大級のキャンペーンを展開しないといけない」と話した。
6月26日現在、日々報道される感染者数の増加にともない、第二波への警戒も高まっている。こうした状況下では、「今秋から来春までは、新規受講生がまったく動かない可能性もある」と北村氏は分析。これに対して「動かない可能性を見越して、前倒しで秋までに販促等を行う」「通常授業に加え、オンラインの授業を行う」という2つの対策がある。
特に重要なのが、オンライン授業の品質向上だ。「秋までの3カ月間で教室として行わなければいけないことの1つであり、中途半端な品質では間違いなく退会につながってしまう。オンラインならではの環境でどう教育するのか、満足度調査をし、課題を明確化する必要がある」と、北村氏は改めて訴えた。
船井総研では、企業ごとのオンライン教育の目的レベルを分類している。北村氏は「オンラインは通常授業の代替えにとどまった企業が多い中、A以上のレベルの企業は、動画をはじめとしたプラスアルファのコンテンツを提供したり、毎週面談を実施したりといった工夫を行うことで、質を高めることに成功している」と話した。
北村氏は、「第2波に備えた対策として体験会や説明会のキャンペーン等を前倒しで行い、同時に質の高いオンライン授業を提供できることが重要」と、プログラミング教室の経営についてのポイントをまとめた。