授業がオンラインになったフィンランドの家庭、子どもの様子は?
フィンランドでも、3月半ばより学校が閉鎖。対面授業から、遠隔授業(学校には通わずに、オンラインを活用したやり取りのみの授業)に切り替わり、1か月半がたちました。当初は戸惑いの多かった遠隔授業ですが、学校・家庭ともに落ち着いてきたように感じます。
導入からの教育現場の様子は、先生の声をもとに別の記事にまとめていますので、以下のリンクを参照ください。
遠隔授業への切り替えを考えると、真っ先に学校側の対応が大変であることがイメージされますが、実は同じくらい大きな影響を受けているのは家庭。日本の知人からも学校の休校や授業のオンライン化でさまざまな声が聞こえてきます。
さてICT先進国フィンランドではどうなのでしょうか? 今回の記事ではフィンランドの家庭での遠隔授業に伴う問題点やその対応の声をご紹介します。
フィンランド 学校現場のコロナ対応(授業の状況)
家庭での影響を説明する前に、学校現場でどのように遠隔授業が行われているのかを少し説明します。
遠隔授業のスタイルとしては、主に以下の3つがあります。
- リアルタイム授業型
- 課題提供型
- コミュニケーション型
まず、1.のリアルタイム授業型ですが、先生が授業そのものをLIVE配信して進めていくものがこれにあたります。Microsoft TeamsやGoogle Meet、Google Classroomなどを使用しています。
次に、2.の課題提供型。課題の出題、提出のやり取りにWilma、Microsoft Teams、Google Classroomなど、オンラインのプラットフォームを活用しているパターンです。一日のはじめもしくは、平常通り、科目の授業時間になると課題の指示が届きます。「今日は○○をやってください。やったらその様子を報告してください(写真や動画で送るもしくは文章で説明するなど)」といった形です。授業時間中には担当科目の先生にコメントを送って質問をすることもできます。授業時間でなくとも、勤務時間内であれば、質問を対応している場合もあります。
Wilmaとは
新型コロナウイルス感染が広がる以前より導入、活用されていた教育用のWebサイト。学校と家庭の連絡を行う。出欠管理、成績管理、伝達事項、質問窓口などとしてフィンランド全土で導入されている。
最後に、3. コミュニケーション型。授業の内容について進めるのではなく、子どもの様子を把握し、先生との関係・友だち同士の関係を大事にするためにLIVEでコミュニケーションをとる時間を作っているパターンです。
少しイメージがつきにくいと思うので例を挙げます。ある0年生(※)の担任の先生は、週に1~2回はクラス全員の生徒を呼んで、LIVEで顔を見ながら自由に会話をする時間をとっています。時には、3人ずつ生徒を同時に呼んで対話をしています。生徒には、彼らのおもちゃを説明してもらったり、彼らの書いたお話を読んでもらったりしているとのことでした。
※0年生
フィンランドでは就学前教育として日本で言う小学校1年生のタイミングで、保育園から小学校への橋渡しとなるような1年があります。読み書き・数え方など、学習の基本となることを学ぶ期間で、外で身体を動かしながら学ぶことも多いです。保育園か小学校内に併設されています。
これらの3つのパターンを、学校の方針、先生のITスキルや家庭の状況、科目、生徒の学年などに合わせて、組み合わせて行っています。先生によっては1つ目のリアルタイム授業が中心の方もいれば、2つ目の課題提供をメインに進めている場合もあります。3つ目のコミュニケーション型は小学校において曜日を決めて、担任の先生によって実施されていることが多い印象です。