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教育ICT先進国フィンランドにおける、新型コロナ対応とは? 試行錯誤の授業オンライン化、教育現場からの声

教育ICT先進国フィンランドの教育動向~現場からの声 第1回

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2020/05/22 07:00

 本連載では、フィンランドの中部、オウル大学大学院でフィンランドのアントレプレナーシップ教育を研究する筆者が、教育ICT先進国とされるフィンランドの教育動向を現地の生の声をもとにレポートします。第1回である今回は、新型コロナ対策による学校閉鎖対応について、教育現場の方々や保護者へのインタビューを通して見えた様子をお伝えします。

フィンランドの学校への影響

 既にご存じの方も多いとは思いますが、フィンランドは教育ICT活用の先進国。1990年代のICT活用改革により、コロナウイルスの影響前からすでに、すべての学校において生徒1人1台のノートパソコンかタブレットのデバイスが普及していて、学校内のWi-Fiも完備されていました。授業では電子黒板が使用され(小学校の電子黒板導入率は100%)、先生はパソコンで教材を投影したり、YouTubeの映像などを活用したりしています。

 生徒も電子黒板やタブレットに触れながら学びを進めていました。学校と家庭の情報やり取りには「Wilma」というシステムを利用しています。

Wilmaとは?

 出欠状況、成績確認、教科登録、宿題連絡、スケジュール確認などができるオンライン上のシステムです。学校に関する諸連絡が届き、先生への質問が可能な連絡機能もついています。

 そんなフィンランドの学校ですが、今回の新型コロナウイルスの影響により、今までとは全く異なるレベルでのICT活用が求められました。

 ICT先進国フィンランドの先生たちは、この未知の状況に対してどのような対応を行ったのでしょうか? この記事では、新型コロナ影響下におけるフィンランドの総合学校(小学校、中学校)の先生たちがどのようにICTを活用していったのか、インタビューした内容を紹介していきます。

 まず始めに、フィンランドの学校現場への影響を簡単に説明します。

 フィンランドでも、新型コロナウイルスの感染の拡大を受け、緊急事態宣言が発令されました(3月16日)。この発令を受け、学校機関は学校を一時閉鎖。その2日後の3月18日から、授業をすべて遠隔に切り替えることとなります。

 地方自治体は遠隔授業(distance learning)に関するガイドラインを作成し、各学校に配布。各学校は、対応方針を決め、順次切り替えていきます。

ガイドラインの主なポイント

  • 3月18日から遠隔授業に切り替える
  • 遠隔授業で毎日の学習環境を継続させること
  • 無理ない方法で授業を実施してほしい
  • 授業方法は、各学校に任せるということ

自由な発想でICT活用を求められた先生たち

 現場の先生の話によると、遠隔授業の導入ガイドラインを受け、各先生が自由に授業の組み立て(それに伴うICTの活用)を検討していったとのこと。そのため、先生によってはICTの活用を課題の指示出しと提出確認から始めたり、早々に授業のLIVE配信をしたり、その内容はさまざまだったようです。

 先述のように普通の教室の中でICT活用はしていましたが、小中学校における遠隔での授業は、従来はほぼなかったため、先生たちも試行錯誤した様子でした。

 5月14日からガイドラインに従って登校を再開するなど、執筆時から現況が変わっているフィンランドですが、日本の教育現場でも参考になる部分があればと思い、3月からのオンラインでのICT活用の事例を紹介します。

註:遠隔授業(distance learning)とオンライン授業

 遠隔授業というと、ライブ配信の授業=オンライン授業を思い浮かべるかもしれませんが、フィンランド政府からの発表は、「なんらかの方法で授業を対面でない形、遠隔で続けてください」というもの。必ずしもZoomなどを使ったライブ授業ではなく、児童生徒が通学しない形で授業を続けることを指していました。

 日本では「オンライン授業」という表現が多く使われていますが、主にリアルタイムの、ライブ配信型の授業を指すことが多いため、それと区別するために本連載では現地の“distance learning”という通称を「遠隔授業」と訳して使用しています。


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著者プロフィール

  • 田中 潤子(タナカ ジュンコ)

     オウル大学大学院教育学部Education and Globalisation在籍、フィンランドのアントレプレナーシップ教育について研究中。新卒で求人広告会社に就職。営業、新人育成などを担当したのち、特非)放課後NPOアフタースクールに転職。小学生の放課後の居場所運営に携わる。企業行政連携チーム、...

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