子ども向けプログラミング教育市場は1000億円規模になる可能性も
プログラミング教育ポータルサイト「コエテコ byGMO」と株式会社船井総合研究所は、プログラミング教育市場の成長予測を「2019年 子ども向けプログラミング教育市場調査」として4月に発表した。
同調査では、2019年の子ども向けプログラミング教育市場規模は114億2000万円になると見込んでおり、5年後の2024年には257億3000万円になると予測。さらに2030年までには1000億円を越える可能性まで示唆している。実際にここまでの成長を支えるには何が必要で、現状で見えている課題はどう整理できるのだろうか?
拡大を続けるとされる市場、その根拠は?
――子ども向けプログラミング教育市場が今後成長を続けるという予測の根拠を教えてください。
犬塚氏(以下敬称略):大きく3つの広がりを予測しています。1つ目は地域的な広がりです。現状では首都圏を中心とした一部の地域に限られていますが、一定の規模で日本全国に広がります。2つ目は層の広がりです。現在プログラミング教育に積極的なのは関心の高い保護者層で、いわばイノベーターが中心ですが、フォロワーとなる層が続き拡大します。3つ目は、対象年齢の広がりです。小学生向けを中心に始まったものが、幼児や中高生向けなどに拡大していきます。
――小学校での必修化が市場に与える影響はどう見ていますか?
犬塚:プログラミングがより一般的なイメージになる可能性はありますが、公教育での必修化が市場の成長に強い影響を与えるとは考えていません。
――公教育がキーにならないとすると、プログラミングの価値が世の中に広く浸透していくには何が必要でしょうか?
犬塚:一言で言えば、成功事例が出てくることがキーになります。例えば将棋の世界が藤井聡太さんというスターの登場で盛り上がっていますね。アメリカならばFacebookを生み出したマーク・ザッカーバーグなどが思い浮かびますが、日本ではまだエンジニアの世界にスターは現れていません。
また、IT企業がエンジニアを破格の高い年収で採用するといった象徴的な事例が増えることが重要です。さらに、地方の非IT企業でもソフトウェアエンジニアが採用され、貴重な人材として高収入を得るケースが見えてくれば、社会的成功のイメージとともに、汎用的に通用する力だという見方が浸透するでしょう。
沼田氏(以下敬称略):周囲を見渡しても、各社でエンジニアの単価が上がっているので、社会的成功や破格の待遇につながる状況はできてきていると思います。また、エンジニア職に就かないとしても、より一般的な当たり前のスキルとして重視される例も既に出てきています。例えば楽天が、技術者ではない新卒社員にもプログラミング研修を取り入れていることが話題になりました。
GMOインターネットグループもそうですが、Web系の会社では、プログラミングなどテクノロジーの仕組みを理解していないと、営業職であれ企画職であれ仕事ができません。私自身もWebメディアの責任者をしていますが、もともとエンジニアです。
犬塚:IT系ではない企業にも変化はあります。どんな業務でも、エンジニア的リテラシーのある人は自分の関わる業務工程を見直して、より効率が良くなるようにどんどん変えていきますね。