大阪教育大学と内田洋行は4月24日に包括連携協定を締結した。これは、急激に変化する社会で起きる諸課題に対して、課題解決を主体的に担うことのできる人材を養成するためのものとなる。同日、大阪教育大学 柏原キャンパスにて締結式が行われ、壁一面の巨大な360度没入型プロジェクターなどの最新技術を取り入れた「未来型教室」も初公開された。
大阪教育大学は、内田洋行教育総合研究所が事務局を務める教育関係者向けイベント「New Education Expo」で1人1台端末を活用した授業実践を行うなど、ICT教育の実践と普及に共同で取り組んできた。
また、教育委員会、学校、行政、企業、大学など多様な主体が協働する産官学連携の共創拠点として、2024年4月に天王寺キャンパス内に「みらい教育共創館」を開設し、内田洋行はその教育ICT環境の実現に貢献。同社は全国の小学校・中学校・高等学校・高等専門学校・大学約1000校に対し、最新のICT設備を取り入れた「フューチャークラスルーム」を導入している。大阪教育大学でも天王寺キャンパスに続き、同年12月に柏原キャンパスへ「未来型教室」を設置し、同社のノウハウを生かした学習環境を構築している。
両者はこの天王寺キャンパスと柏原キャンパスへの設備導入を契機として、両キャンパスの連携を一層強化し、次世代の学びに求められる最先端の学習空間の在り方について検討していく。また、大阪教育大学は「新時代の教員育成を担うフラッグシップ大学」として、令和の日本型学校教育を担う教師の育成と、教育データやICTを活用した授業づくりを通じて、教育の質の向上と持続的な発展に貢献していく。
包括連携協定で検討している内容は以下の通り。
研究プロジェクトの共同推進に関する事項
教育データの利活用をテーマとした授業や実践演習を通じて、学習者の目的意識の醸成や学びの可視化を図る。また、取り組みの成果を定量的・定性的に評価し、教育効果の検証を行う。
先端技術を活用した教育環境の整備に関する事項
ICTを活用した学びの質の向上に取り組む。未来型教室における演習や、天王寺キャンパスとの連携による実践授業、より説得力のある授業の実現を目指すほか、学生の模擬授業や就職面接演習の様子を映像として記録・活用することで、学習者自らが振り返りを行い、学習のプロセスや経験を可視化・蓄積できる環境を整備する。
地域の活性化に関する事項
大阪教育大学が主催する地域・セミナーなどを通じて、地域住民や教育関係者に加え、同大学の卒業生との連携も視野に入れながら、地域とのつながりを一層強化していく。また、地域が抱える教育課題やニーズに応じた実証的な取り組みや情報発信を行うことで、大学・企業・地域が協働する形で、持続可能な地域づくりに貢献していく。
その他両者が必要と認める事項
時代や現場のニーズに応じて、柔軟かつ実践的な協力体制を築いていく。

締結式の後には未来型教室の設備についてデモンストレーションが行われた。

教室前方の壁は幅5.93m×高さ2.7mの書き込み・映写兼用の全面ホワイトボートとなっており、単焦点プロジェクターで2画面を投影可能。120インチスクリーンを連結した大画面の特性を生かし、等身大で生物の映像等を投影することもできる。

また、遠隔授業に対応したカメラや天井シーリングマイクも整備。これらはAV制御システム「codemari」によって、教室のどこからでもタブレット端末で操作が可能だ。

教室後方の壁も幅7.5m×高さ約3mの全面ホワイトボートになっている。こちらには没入型プロジェクター「Panora360」を設置し、VR教材や360°カメラで撮影した映像をVRゴーグル等を使うことなく投影できる。この設備は大阪教育大学の柏原キャンパスが全国で初の導入となる。デモンストレーションでは宇宙空間のVR教材や、360°カメラで撮影されたバレーボールの様子などが投影された。



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