三谷産業は、金沢大学附属高等学校(正式名称:金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校)と共同開発した「neconome(ねこのめ)」について、全校での本格運用を4月に開始した。「neconome」は、生徒の出欠状況をオンラインで確認して教職員間で情報共有を円滑に行うシステムとなっている。
「neconome」は、保護者による生徒の欠席連絡、生徒の授業出席記録、教職員による出欠の記録を一元化するシステム。専用のアプリケーションを用いて情報を集約し、校務支援システムにデータを移行・集約・教職員間で情報を共有することによって、生徒の出欠状況を迅速に把握して安全を管理できる。

具体的には、生徒が自身の出席する授業が行われる教室に掲示されているQRコードを、スマートフォンで読み込んで出席登録を行う。スマートフォンを所持していない場合でも、学生証で代用可能な仕組みを並行稼働させることで、誰も取りこぼさないIT環境を整備している。保護者は、生徒が欠席する場合はスマートフォンから状況を連絡して欠席登録でき、これらの情報は教職員がパソコンやタブレット端末などを使って、リアルタイムで一元的に把握可能となっている。
なお、4月からの全校稼働に先立ち、2024年10月から一部学年で実証実験が行われた。実証実験では、「neconome」の活用によって始業前に教職員間や保護者と行う連絡時間を約40%削減できた。これまでは、保護者が欠席や遅刻の連絡を電話で行うことが多かったため、始業前の回線混雑や口頭の情報共有によるヒューマンエラーのリスクがあったが、「neconome」の活用でこれらの問題点の解決を可能にしている。
同システムの開発は、三谷産業と金沢大学附属高等学校の教職員が共同で実施した。通常システム開発の上流工程は開発者側のみで行い、顧客に提案する流れが一般的だが、今回は上流工程である企画構想の段階から教職員が協力。チャットツールを用いて双方向のコミュニケーションを行いながら開発を進めていった。
これにより、学校側はデジタル化をより自分ごととして捉えられ、迅速な確認や現場の状況に即した要望を開発者側に届けられた。開発者側も、現場の意見をリアルタイムに受け取ることができたため、アップデートや開発のサイクルを速やかに回して、実証実験で高い効果を実現し、本格稼働につなげられたという。
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