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ICT教育サービス開発者インタビュー(AD)

児童生徒が主体的に考え、次の学びにつなぐには何が必要?「スクールタクト」振り返りAI分析の実証に見る

株式会社コードタクト 教育総研 江添光城氏インタビュー

分析の結果を見ることで、児童生徒は自ら気づき学んでいく

──振り返りAI分析を使っている学校や先生からは、どのような反響がありましたか。

 振り返りAI分析では児童生徒自身も結果を見ることができるので、例えば「どのように書けば『考察』や『結論』の観点になるんだろう?」と考えつつ、友だちの振り返り分析を見ることで「こんなふうに書けばいいのか」と学ぶことができます。また、従来は先生が書き方などを指導していた場面でも、児童生徒同士が分析結果を見ることによって自分たちで学び、「学び合い」が進むようになっています。

 また、先生からは「授業改善に取り組みやすくなった」「振り返りAI分析の結果を、評価の判断材料のひとつにできた」といった意見も頂きました。具体的には「今日の授業では授業のねらいに沿った児童生徒の振り返りが少なかったので、次はどのように授業を組み立てていくか」を考える際、クラス全体の振り返りの分析傾向を参考に授業改善を行ったという声がありました。

 なお、どの学年でこの機能がよく使われているのかを調査したところ、小学6年生がもっとも多く、続いて中学校3年生、小学校5年生、中学校1年生、小学校4年生という結果になりました。もともとテキスト入力された文字を分析対象としているため、小学4年生以上が使用することを想定としていましたが、小学校2・3年生でも、先生が工夫して使っているケースもあるようです。

 教科別に見るともっとも活用が多かった教科は国語で、次に数学/算数、理科、社会などの主要教科で活用されていました。「振り返りAI分析があるから使う」というよりも、もともとそういった教科で振り返りをしていて、この分析によって次の学びにつなげようとした行動の結果だと考えています。

──教科学習のほかには、どのようなシーンで振り返りAI分析が活用できそうでしょうか。

 探究学習でも有効だと思います。自分で問いを立てながら学びを進めていく過程で、「今はどのような状況か」「次にどのような学びにしようか」と考えるためのサポートツールとして振り返りAI分析が活用できると期待しています。

 なお現在は、先生の操作によって児童生徒が分析するタイミングを設定していますが、AIに分析されることに対する不安感も減ってきている様子が見られるので、今後は児童生徒が自分の好きなタイミングで分析できる仕様に変更することも検討しています。

振り返りの文字数が増え、言語化もできるように

──振り返りAI分析によって、児童生徒の学びにはどのような効果がもたらされましたか。

 教育現場で行っていた実証では、児童生徒に、まず興味や面白さからスタートし「5観点すべてを網羅できるように書く」といったようにゲーム感覚で取り組む子もいました。それは想定内でしたし、楽しく取り組むことは大事ですが、それだけでは振り返りの本質からはズレてしまいます。

 最初はゲーム感覚で取り組んでいたとしても、振り返りの過程を繰り返していくことで、自分自身で振り返りをメタ認知するようになり、次第に自らの力でどんどん本質の振り返りに近づいていくことができました。

 また、短く書いて終わっていた振り返りから、何を書けばいいのかがわかったことで、より具体的に書けるようになり、文字数が増える傾向も見られました。分量が多ければよいという話ではありませんが、20字前後だったものが、平均すると40字前後の振り返りを書けるようになっています。また、自分が学んだ事実から導き出した要因や仮説を、きちんと言語化できるようになりました。

 一方で、ペーパーテストの点数などの目に見える学力に影響しているかどうかは、さまざまな要因が含まれるため、まだはっきりとした結果は出ていません。どのように効果検証できるかを含めて検討し、次の実証として取り組みたいと考えています。

──発達段階による差などは感じられましたか。

 結論から言うと、差はありませんでした。最初から完璧に振り返りが書けているわけではないものの、児童生徒自身が「振り返りは、このように積み重ねるといいんだ」と学び、経験していくことで、小学生でも論理的に考え、振り返りが行えることが実証を通して感じられました。

──最後に、児童生徒のよりよい学びに向けて、振り返りAI分析の機能も含めたスクールタクトの今後の展望をお聞かせください。

 振り返りAI分析は現状、「アルゴリズムの精度改善」と「生成AI活用の検討」という2つの課題に向き合っています。アルゴリズムについては、現場からのフィードバックをもとに改修を進めています。2024年9月にはテキストの検出精度が最大128%向上し、AIがより人の感覚に近い形で振り返りを分析できるようになりました。来年春にも新たな改修を予定しています。

 また、振り返りAI分析は現在、生成AIではなく機械学習を中心としたAIを使っているのですが、生成AIを取り入れることでよりよい結果が出るのであれば、生成AIで作り直すことも視野に入れる必要があるでしょう。

 振り返りAI分析に関わらず、スクールタクト全体として、今後も調査や実証を通じて、児童生徒がどこまで本物の学びを深められるのか、つまり主体的・対話的で深い学びが実現できているのかについて検証していきます。

 具体的な内容としては、スクールタクトを使った学習効果を、データと質問紙調査のクロス分析によって可視化し、授業改善をしていくサービスの展開も検討しています。

──ありがとうございました。

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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