AIとスタディログを活用した授業支援クラウド「スクールタクト」
株式会社コードタクトが2015年から提供する授業支援クラウド「スクールタクト」は、国公私立を問わず2500校以上の小中高校や大学、学習塾、教育委員会などに採用されている。
OSを問わないWebブラウザベースのクラウドツールで、単元に沿った9600以上の課題のワークシートが用意されている。課題の配布やフィードバックを一元管理し、児童生徒の回答もリアルタイムで閲覧・共有できるほか、シンキングツールや授業チャット、マイノート、タイマーなど、授業準備から授業中、授業後まで使える多様な機能を備える。
また、学習の履歴はポートフォリオとして蓄積され、評価にも活用しやすい。操作の切り替えは1ボタンで簡単に行えるため、ICTを苦手とする教員や、低学年の児童でも直感的に使うことができる。
導入した学校では、教員から「児童生徒の考えが可視化され、話し合い活動が充実した」「俯瞰的な見取りができ、子供主体の授業へと変わった」といった声も寄せられている。
さらに、昨年度には「振り返りAI分析(β版)」や「班機能」が実装されたほか、2024年度は、同社の社内研究部門「教育総研」が行う、ICTによる「自己調整型の学びプロジェクト」や、生成AIを活用した「AIと一緒に学ぶプロジェクト」などの実証研究も進めている。
今回、「教育総研」に所属する江添光城氏へインタビューを実施。振り返りAI分析の効果や実証研究の結果を中心に、スクールタクトが児童生徒主体の学びにどのように寄与するのか、話を伺った。
ボタンひとつであらゆる授業形態に対応可能
──まずは、スクールタクトの特徴について教えてください。
学校現場で「主体的・対話的で深い学び」のためにICTを活用する際は、汎用的なツールよりも教育に特化したツールを使うほうが、先生も児童生徒も学びに専念できると考えています。ただし、ICTによって先生の負担が増えてしまうことも起こりがちなので、スクールタクトは極力、先生に負担をかけることなく授業をサポートできる設計を心がけています。
スクールタクトには、授業準備ではすぐに使える課題のひな型となる「課題テンプレート」が搭載されています。また、授業中は児童生徒の学習状況がリアルタイムで見える「回答一覧画面」などを使いながら、スムーズに授業を進めることが可能です。一方、児童生徒はスクールタクト上のキャンバスを使って、まずは個人で考え、次に友だちと共有して学びを深めていくという場合も、ボタンひとつで「個別」と「協働」の画面をすぐに切り替えることができます。
弊社には学校現場を経験したメンバーも多く在籍しており、現場のことを熟知しています。そうしたメンバーと共に、ICTをシームレスに使いながら授業をサポートするツールを作り上げてきました。
──江添さんご自身も、以前は学校の先生でいらっしゃったと伺っています。
はい。私自身、公立と私立の小学校で9年間教員を務めていました。その経験からも、スクールタクトの「ボタンひとつでさまざまな授業形態に対応できる」点は、授業でのICT活用において重要なポイントであると感じています。
限られた授業時間の中で、1秒も無駄にせず、先生も児童生徒も学習活動や思考を途切れさせることなく、スムーズに画面を切り替えられることは大きなメリットです。
──「先生の負担を増やさない」工夫として、そのほか開発時に注力した点はありますか?
スクールタクトの画面では、ボタンの大きさやレイアウト等を調整し、先生が説明しなくても児童生徒が自分で理解できる工夫が施されています。一例として、小学校の低学年では、画面上のボタンやメッセージはひらがなで表示されるようになっています。汎用的なクラウドツールは大人が使う前提で開発されており、子供が使うとなると操作が難しい部分もありますが、こうした工夫によって先生は授業へ集中できるようになります。