生徒からの支持を受けたテーマ「探究はつまらない」
2024年2月、東京都町田市にある桜美林高校で、高校2年生による探究学習の学年代表発表会が開催された。同校の「総合的な探究の時間」では、1年間にわたって探究学習に取り組む。高校2年生は、高校向けのキャリア支援プログラムを提供している「ディスカバ!」の今村亮氏が探究コーディネーターとして年間のカリキュラムを設計し、桜美林大学等の学生がメンターとして生徒たちをサポートした。
1学期のグループ活動を経て、2学期から個人探究をスタート。大学でのフィールドワークを行い、1月には全員参加の「ポスターセッション」で一人ひとりがテーマを発表し合う。最後に4000字のレポートを書き上げ、学年で1冊の冊子としてまとめる。学年代表発表会では、生徒からの投票で選ばれた8名が「聴衆を驚かせ心を動かすこと」「TED方式に近づけること」を目標に設定し、堂々とプレゼンテーションを行った。
その中で、ひときわ聴衆の生徒たちを沸かせていたのが、大野徳樹さんだ。彼が選んだテーマは「探究はなぜつまらないのか」。発表では、舞台ではなく観客席から歩いて登場し、「探究の授業、つまらないよね!?」と大声で会場に呼びかけ、熱弁をふるった。
大野さんは「なぜつまらないのか考えてみよう」と会場の生徒たちに問いかけながら、「探究がつまらない」と感じるのは、すなわち「『面白さ』を感じられていない」からだと説明。「ゲームや動画視聴といった好きなことは自主的に行っている」とし、その一方で、探究は「受動的になっていて自主性がない」と指摘した。
そのうえで自分なりに考えた解決方法として、3つの方法を提案した。大野さんが考えた「探究を面白くする」方法は、「ファシリテーターと生徒の対話を増やし、意見を共有する」「生徒の特性にあわせた、多様な授業の進め方を実践する」「事前に発表の動画を撮影してQRコード等で共有することで、発表が苦手な生徒のハードルを下げ、全員がお互いの発表を見られるようにする」といったものだ。
最後に、探究活動を支えてくれたファシリテーターに感謝を伝え、大野さんが発表を終えると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。