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先進事例紹介(探究学習)

「探究はなぜつまらないのか」をテーマに探究!? 探究学習が抱える課題に向き合った生徒の発表とは

桜美林高等学校「総合的な探究の時間」に関するインタビュー

 2022年度から始まった「総合的な探究の時間」によって、全国の高校が探究学習に取り組んでいる。しかし「単なる調べ学習の域を出ない」「与えられたテーマをなぞるだけで、生徒が自分ごととして捉えられない」など、指導を行ううえでの課題を感じている学校も多い。そんな中、桜美林高等学校の探究の授業で、「探究はなぜつまらないのか」をテーマにした生徒の探究活動が大きな反響を呼んだ。本稿では、発表を行った同校の大野徳樹(おおの なるき)さんと、学年主任の竹村泰典(たけむら やすのり)先生にお話を伺い、「生徒が主体的に取り組む探究学習」について考察する。

生徒からの支持を受けたテーマ「探究はつまらない」

 2024年2月、東京都町田市にある桜美林高校で、高校2年生による探究学習の学年代表発表会が開催された。同校の「総合的な探究の時間」では、1年間にわたって探究学習に取り組む。高校2年生は、高校向けのキャリア支援プログラムを提供している「ディスカバ!」の今村亮氏が探究コーディネーターとして年間のカリキュラムを設計し、桜美林大学等の学生がメンターとして生徒たちをサポートした。

 1学期のグループ活動を経て、2学期から個人探究をスタート。大学でのフィールドワークを行い、1月には全員参加の「ポスターセッション」で一人ひとりがテーマを発表し合う。最後に4000字のレポートを書き上げ、学年で1冊の冊子としてまとめる。学年代表発表会では、生徒からの投票で選ばれた8名が「聴衆を驚かせ心を動かすこと」「TED方式に近づけること」を目標に設定し、堂々とプレゼンテーションを行った。

 その中で、ひときわ聴衆の生徒たちを沸かせていたのが、大野徳樹さんだ。彼が選んだテーマは「探究はなぜつまらないのか」。発表では、舞台ではなく観客席から歩いて登場し、「探究の授業、つまらないよね!?」と大声で会場に呼びかけ、熱弁をふるった。

学年代表発表会でプレゼンテーションを行う大野さん(写真:桜美林高校提供)
学年代表発表会でプレゼンテーションを行う大野さん(写真:桜美林高校提供)

 大野さんは「なぜつまらないのか考えてみよう」と会場の生徒たちに問いかけながら、「探究がつまらない」と感じるのは、すなわち「『面白さ』を感じられていない」からだと説明。「ゲームや動画視聴といった好きなことは自主的に行っている」とし、その一方で、探究は「受動的になっていて自主性がない」と指摘した。

 そのうえで自分なりに考えた解決方法として、3つの方法を提案した。大野さんが考えた「探究を面白くする」方法は、「ファシリテーターと生徒の対話を増やし、意見を共有する」「生徒の特性にあわせた、多様な授業の進め方を実践する」「事前に発表の動画を撮影してQRコード等で共有することで、発表が苦手な生徒のハードルを下げ、全員がお互いの発表を見られるようにする」といったものだ。

 最後に、探究活動を支えてくれたファシリテーターに感謝を伝え、大野さんが発表を終えると、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

発表を行った学年代表の生徒8名(写真:桜美林高校提供)
発表を行った学年代表の生徒8名(写真:桜美林高校提供)

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「探究」に対する思いは人それぞれなのに……

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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