難しいパスワード管理
皆さまのスマートフォンには、画面ロックのパスワードがかかっているでしょうか。最近は試行回数の制限や指紋・顔認証の導入によってセキュリティは向上しましたが、試行回数の制限がないと仮定した場合、6桁のパスワードは短時間で解除されてしまうというデータがあります(※1)。さらに桁数が少ないパスワードであれば偶然解除されることもあり得るでしょう。パスワードへの意識を高めていかないといけません。そのような中で、端末のパスワード管理について、次の質問を頂きました。
1人1台の端末については、子どもたち自身が、自分で端末のパスワードを管理し、誰にも教えないことが最善だと考えます。パスワードの管理に関する指導は、どのように行えばいいでしょうか。
今回は「端末のパスワードの管理とその指導」について考えてみましょう。
まずは子ども自身が重要性を理解する
私は学校を訪問する中で、子どもたちがパスワードを管理する方法としてさまざまな方法を見てきました。いくつか例を挙げます。
- 端末の内側(キーボード周辺)にIDやパスワードを書いた小さな紙を貼っておく。
- 端末のIDとパスワードを小さなカード(名刺サイズ~A5サイズ)に記載し、筆箱に入れておく。
- 端末のIDとパスワードをプリントに記載し、ファイルに入れておく。
IDやパスワードをなかなか記憶できない子どもも多くいることでしょう。端末のIDやパスワードの重要性をわかっていないこともあるはずです。そのような子どもも理解できるように、次の説明がおすすめです。
- 端末のID=家の住所
- 端末のパスワード=家の鍵
こうしたイメージを持つと、先ほどの1~3の方法について、懸念点が見えてくるのではないでしょうか。1は家の前で鍵を配り「どうぞ入ってください」と言っているのと同じことです。もちろん、2や3でもカードやプリントを紛失するリスクがあります。これは、家の鍵をどこかに落としてしまうことと同じ状況です。家の鍵をなくした場合、鍵の交換が必要です。パスワードの場合は、設定し直す必要があります。
このようなIDやパスワードの重要性を、まずは子どもがしっかりと理解することが大切です。
管理方法も自分たちで考える
そして次のステップとして、IDとパスワードの設定や管理方法について、子どもと一緒に考える時間をつくるのはどうでしょうか。授業のような形で組み込むイメージです。例えば、次の○×問題の答えを考えてもらいます。
次の行動は、正しいかどうか考えましょう。正しいと思ったら○、そうでなかったら×を書きましょう。そう考えた理由も教えてください。
- 覚えやすいようにIDとパスワードを同じものにしておく。
- パスワードを自分の生年月日にする。
- 忘れると不安なため、端末のIDとパスワードを仲の良い友だちに教えておく。
- いつでもログインできるように、端末のIDとパスワードを机の上に書いておく。
- 端末のIDとパスワードを付箋に書いて、端末に貼っておく。
- 端末のIDとパスワードが書かれたノートを机の上に出しっぱなしにする。
子どもがそれぞれ考えたあとに、ペアやグループで確認し合う時間をとります。その際は「なぜそう思ったのか」という理由も一緒に考えます。×と答えた場合は、どうすればより良い方法になるのかを考えていくチャンスにもつながります。
このように具体的な例を通して、IDやパスワードの設定や管理方法について学んでいきます。よく職員研修でも、イラストの中にあるトラブルの原因を見つけましょうという問題があると思います。それと同じように捉えてください。
このように、パスワードをどう管理していけばいいのかを事例を通して学んだところで次のステップに移り、実際にパスワードを設定していきます。