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教育現場でのICT活用事例紹介(高等学校)

全校生徒の保護者にGoogleアカウントを発行した清教学園――利便性向上だけではないメリットとは?

清教学園中学校・高等学校 担当者インタビュー

 学校現場での「1人1台」環境やクラウド活用が進む中、ICTを活用した保護者との連携も、学校・学級運営における新たな課題のひとつとなっている。清教学園中学校・高等学校は、2021年度から保護者向けに「Google Workspace for Education」のアカウントを発行し、学校と家庭をつなぐツールとして活用している。Google Workspace for Educationの活用を保護者に広げるまでの課題や、導入後に感じた効果などについて、同校の法人事務局長を務める植野公稔氏と、ICTコーディネーターである高橋安史氏にお話をうかがった。

端末はBYODで4種類のOSから選択

 清教学園中学校・高等学校は、大阪府河内長野市にある私立の進学校で、2021年現在、中学校は475名、高校は1182名が学んでいる。文武両道を掲げており、文部科学省SGH(スーパーグローバルハイスクール)ネットワーク参加校に認定されているほか、全国大会に出場するなど部活動も活発に行われている。

清教学園中学校・高等学校
清教学園中学校・高等学校

 「本校はキリスト教主義に基づいた教育として『一人ひとりの賜物を生かす』ことを大切にしています。学校の目指す人間像のひとつが『隣人とともに平和を築く』ことです。それは、身のまわりに限らず、世界に目を向けることであり、現在行っているグローバル教育の基盤となっています。こうした取り組みでICTを積極的に活用しています」と話すのは、同校の法人事務局長を務める植野公稔氏だ。

清教学園中学校・高等学校 法人事務局長の植野公稔氏。自身も卒業生であるという植野氏は、総務・広報をはじめとした学校運営を幅広く担当している
清教学園中学校・高等学校 法人事務局長の植野公稔氏。自身も卒業生であるという植野氏は、総務・広報をはじめとした学校運営を幅広く担当している

 同校の1人1台環境は、本格的な整備が2017年からスタートし、現在は中学1年生と高校の全学年の生徒が、1人1台の端末を所有している。中学生は2021年度からのスタートで、入学時に機種指定のiPadを各家庭で購入。高校生は端末の自由度が広がり、OSがUNIXとAndroid以外の機種であればOKで、各自が好きな機種を選んで購入するBYOD方式を採用している。

高校ではBYOD方式で1人1台の端末を活用
高校ではBYOD方式で1人1台の端末を活用

 さらに、学校の設備としてChromebookが200台、MacBookが100台用意されており、家庭で購入していない中学2年生と3年生が使用する。高校の情報科教室にはiMacとiPadが各50台配備され、授業で高スペックを要求するアプリケーションを使う際などに併用している。

 ハードウェアの整備に先駆けて、同校では「G Suite for Education」(Google Workspace for Educationの2020年までの名称)を早期から導入していた。2010年より教員用、2015年からは生徒用ドメインをそれぞれ取得し、授業などで活用している。現在は「Google Classroom」を主に使用しているほか、授業や用途によって「Microsoft 365」のソフトウェアと使い分けている。

eポートフォリオサービスからの移行と葛藤

 このようにICT活用については比較的早期から取り組み、授業やクラス運営に役立ててきた同校。保護者用Google Workspace for Educationアカウントの発行を検討し始めたのは2020年だった。そのきっかけは、コロナ禍による全国一斉休校措置の際に、2015年から利用し有意義な教育効果を発揮していたeポートフォリオサービスの運用において課題が出てきたからだという。

 「年度初めのユーザー管理や時間割設定といった運用で特定の教員に負荷がかかっていたのですが、そこに休校が重なってしまいました。緊急時にもかかわらず、即時対応がかないにくい点が課題として浮かび上がったのです。豊富な機能が十分に活用されない状況が続いていたこともあり、もっとシンプルで運用負荷の低いサービスへの移行を検討することになりました」(高橋氏)

清教学園中学校・高等学校のICTコーディネーターである高橋安史氏
清教学園中学校・高等学校のICTコーディネーターである高橋安史氏

 そこで、eポートフォリオサービスの代替候補として挙がったのが、無料で利用できるG Suite for Educationだった。しかし、移行にあたっては大きな課題があった。

 「これまで使っていたサービスには、ご自身のお子さまの成果物を参照できるといった保護者向け機能が充実しており、保護者からは好評を得ていました。この機能はG Suite for Educationにはなく、またeポートフォリオに特化したサービスではないため、移行を決めかねていたのです」と、高橋氏は当時の葛藤を伝える。

 移行の決め手となったのは、G Suite for Educationの保護者向けアカウント機能を知ったことだ。「保護者向けの機能があれば、eポートフォリオの代わりになるのでは」と判断し、数年にわたって使っていたeポートフォリオのサービスからG Suite for Educationへの移行を決定。2020年度の終わりに保護者に向けて運用開始を告知し、2021年度から中学・高校の全保護者に対して専用アカウントを発行した。「生徒1人につき1アカウント」とし、在校生に兄弟姉妹がいる場合も保護者アカウントがそれぞれ用意された。

 具体的な運用方法としては「保護者」という組織部門を作成し、使えるアプリをGoogle Classroom、Googleドライブ、Googleサイトなど一部のものに限定。メール機能は、Google Classroomからの通知のみを受け取れるよう、受信アカウントに制限をかけた上で運用している。高橋氏は「さまざまなアプリを使い分けるのではなく、統合されたサービスをワンストップで利用できた点は、短期間で立ち上げる必要がある状況では助かりました」と話す。

 保護者に対しての用途は大きく分けて2つ。これまで紙のプリントを主として行っていた家庭向けの連絡を、Google Classroom上で行うこと。もうひとつが、Google Classroomのストリームなどを通じて、生徒の日常の学習活動を見える化したことだ。保護者は生徒の日々の学習活動をいつでも確認することができる。

次のページ
保護者向けアカウントの運用で実感したメリット

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集部所属。好きな言葉は「愚公移山」。

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