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イベントレポート(アダプティブラーニング)

より多くの不登校児童生徒が安心して学べる環境の実現に向けて――オンライン教育プログラム「OjaC」実証事業報告会レポート

不登校生の出席扱い制度説明会/経済産業省「未来の教室」実証事業オンライン教育プログラム「OjaC」活動報告及びパネルディスカッション レポート

 すららネットとクラスジャパン小中学園は、「不登校生の出席扱い制度説明会/経済産業省『未来の教室』実証事業オンライン教育プログラム『OJaC』活動報告及びパネルディスカッション」を、4月28日にオンラインで開催した。第1部の「出席扱い制度説明会」では、株式会社すららネット 子どもの発達相談室 室長を務める佐々木章太氏と、一般財団法人クラスジャパン教育機構理事長の中島武氏が登場し「不登校生の出席扱い制度」とそれに呼応するサービスの紹介が行われた。第2部では、令和2年度採択事業の「OJaCプロジェクト」の紹介に続き、プロジェクト関係者によるパネルディスカッションが行われた。それぞれの模様をレポートする。

不登校の子どもが安心して学べる環境をつくる取り組み

 第1部の「出席扱い制度説明会」の冒頭では、すららネットの佐々木章太氏が登場。同社が不登校生の学習支援に乗り出した経緯として、中学生で不登校になった少年が、すららネットのICT教材「すらら」で学び、自信を取り戻して高校から登校するようになったことを紹介した。

株式会社すららネット 子どもの発達相談室 室長 佐々木章太氏
株式会社すららネット 子どもの発達相談室 室長 佐々木章太氏

 そうした家庭学習がかなった理由としては、「すらら」が学年にとらわれない「無学年方式」かつ、理解に合わせて自動的に問題が調整されて出題される「AI搭載型ドリル」であることで、つまづきがちな不登校の子どもも自分のペースで学べたことが大きいという。また子どもの集中力を持続する「対話型講義」や保護者をサポートする「すららコーチ」など、自宅での学びを継続するためのさまざまな工夫がなされていることが紹介された。なお現在、すららは学校や学習塾を中心に展開し約37万人が利用しているが、家庭学習においても3416名が利用している。

 続いて登場したクラスジャパン教育機構の中島氏は、「不登校の子どもが増える中で、現行の学校教育制度では、通信制高校のような通信制小中学校の設置制度が認められていない。そのため不登校の小中学生には認められる居場所がない。そのために心理的に孤立感・不安感をもたらし、不登校自体よりも深刻な問題を引き起こしている」と語る。

一般財団法人クラスジャパン教育機構 理事長 中島武氏
一般財団法人クラスジャパン教育機構 理事長 中島武氏

 この問題を重視した文部科学省は、不登校施策として2005年、2016年、2018年に「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」という通知が出し、2016年には議員立法で「教育機会確保法」が成立された。これにより、児童生徒が不登校となった場合でも、学校が自宅での学びを把握し、それを出席として認めることが求められるようになった。これにより、進路における不利益の解消や、子どもの存在が認められることによる学習意欲の向上、さらには登校への意欲も生じるとされる。

 しかし、先生が多忙を極める中で、自宅にいる児童生徒一人ひとりの学習状況を把握することは難しい。そこで、クラスジャパン小中学園では学校と連携し、在宅教育をサポートするサービスを提供している。学習教材については、すららネットのほか、リクルートやeboardなど複数の企業・団体が提供し、状況に応じた教材を選択することが可能だ。ほかにもチャットを使った先生とのコミュニケーションや、ネット部活、オンライン体験活動なども実施されており、「安心して学べる」工夫がなされている。中島氏は「かつての学習で目指していたのは、誰もがバランスの良い平均的な能力を身につけることだった。しかし、これからはバランスが悪くても、得意なことを伸ばす教育が必要」と語った。

 なお、先述の通知は2019年10月に「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」の別記として改訂版が出ており、こちらの記事にて詳しく紹介しているので参照してほしい。また、この制度を用いて「自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数」は、2018年の286人から2019年には608人と倍以上に増えている。これについて佐々木氏は「ITを活用した家庭学習のニーズが高まっているためと推測している」と評した。

自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数の推移
自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数の推移

 なお、出席扱いが承認された件数についてはすららが全体の約70%、クラスジャパン小中学園が約80%であるといい、承認されても出席点のみにとどまることが多いという。中島氏は「たとえ承認されない場合でも、学習状況を学校に共有して評価をしてもらうほうが子どもにとって大切である」と強調した。また、承認の是非は、ほぼ学校長裁量になっていることを明らかにした。

次のページ
全国17の自治体が参加した「OJaCプロジェクト」

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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