東京都小金井市と東京学芸大学、NTTコミュニケーションズは「GIGAスクール構想による個別最適化された深い学び等の実現に関する連携協定」を4月20日に締結した。本協定は、小金井市の小中学校に導入された1人1台のパソコンと、NTTコミュニケーションズが提供する「まなびポケット」などを活用し、児童生徒1人1人に最適化された学習や、協働学習による学び合い、遠隔授業の実現など、全国でも先進的な教育モデルの構築を目的としている。
「まなびポケット」はWebブラウザでアクセスできるクラウド型教育プラットフォームで、500以上の自治体、5000校以上の学校、180万人以上の児童生徒と教職員が利用している。
小金井市は、ICTを活用することで情報リテラシーを身に付けつつ、知識獲得に要する時間を効率化し、熟考・対話・体験活動の時間へとシフトさせることで、児童生徒が自分らしく生きていく力をつける教育の実現を目指している。
同市は新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時休校措置時にも、いち早くWeb会議システムや「まなびポケット」を活用した遠隔授業を実現。2020年9月には市内の全小中学校児童生徒約8000人に対してパソコンの配付を完了し、12月には校内ネットワークの環境整備を終えた。全国の教育委員会が端末導入時に参考にした自治体として、熊本市や奈良市と並んでメディアに取り上げられるなど、注目を集めている。
一方で、これらの教育を実現するためには、ICT環境の整備のみでは十分でなく、教員のICT技能の向上や、授業設計のあり方の研究など、さまざまな変革が必要となる。
この課題を解決するため、小金井市と、教員養成大学として教科教育に強みをもつ東京学芸大学、「まなびポケット」を提供し教育のICT化に強みをもつNTTコミュニケーションズが各々の人的、物的、知的資源を持ち寄り連携協力を行う。
主な協力事項は以下の通り。
- 教育委員会に設置される推進体制への助言、サポート
- 優良成功事例やノウハウを情報発信、横展開
- 「まなびポケット」を活用した教育実践による効果検証
- 小中学校におけるICT機器の研修および利活用のサポート
- 小中学校が取り組む研究テーマへの連携・協力
また、小金井市は「まなびポケット」上で多種多様な学習コンテンツが利用可能になる定額制コンテンツサービス「まなホーダイ」を全国で初めて導入し、多様な授業形態に対応していく。
今後三者は本協定に基づき、優良成功事例「小金井モデル」を確立し、その事例やノウハウをほかの自治体にも共有していく。また、授業にとどまらず学校運営全般のICT活用にも取り組むことで、教職員の働き方改革に寄与していく。5月からは小金井市立の全学校で実践を開始し、7月にはWebでの発信をスタートさせる。
連携協定の調印式で、小金井市長の西岡真一郎氏は「パソコンはあくまで学習ツールの一部ではあるが、未来の小金井市を背負う子どもたちが新しい時代を生きる力を育成するために欠かすことができないものだと考えている。この連携協定を通じて、日本全国で進むGIGAスクール構想をリードしていきたい」とコメントした。
【関連記事】
・日本マイクロソフト、1人1台端末の活用に向けた新たな取り組みを発表
・都道府県立高校における1人1台端末の配備状況、未だ4割に留まる
・文科省、1人1台端末使用時の健康への配慮等に関する啓発リーフレットを配布
・新型コロナ禍での子どもの学習に関する調査、保護者の不安は「自宅学習できるか」が最多
・子どもを持つ保護者、8割超が「オンライン授業」と「対面授業」の両方を希望【イー・ラーニング研究所調べ】
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア