日本マイクロソフトは4月15日、教育分野における同社の取り組みを発表するプレス向けの説明会を開催。GIGAスクール構想で1人1台端末の整備が進んだ状況における、同社の今後の取り組みを紹介した。
2021年度より、小中学生に対して整備された1人1台端末が本格稼働する。日本マイクロソフトも「教員向け」「児童生徒向け」「保護者向け」そして、今後広がっていく「高校での1人1台に向けて」、さまざまな新しい取り組みを行っていくという。
同社はこれまで、教員向けとして、60を超える動画学習コンテンツを提供する「Microsoft 教育センター」や、自治体向けの無償研修「GIGA Start Program」、Microsoftの教育ツールを活用する教育者を認定するプログラム「Microsoft認定教員(MIE)」と、その中でもさらに先進的な教育者を認定する「マイクロソフト認定教育イノベーター(MIEE)」などを実施してきた。
端末活用が本格化する今後は「より多くの教員がICTを活用できること」を目指していく。6月には、実践例や教材、指導案を提供するポータルサイト「Microsoft Education 授業・学校活用素材集」がオープン。このWebサイトは、文部科学省が開設した「StuDX Style」とも連携し、さまざまな教科で誰もが使える情報を伝えていくという。さらに、地域に根差したオンラインの教員コミュニティ「Microsoft Educator Local Community」の開設準備を進めていることに加え、2023年度までに、MIEを現在の1万943人から10万人に、MIEEを289人から1000人まで増やす目標も発表された。
さらに「すべての教員が始められるヒント集」を、同社のGIGAスクール構想のポータルサイトで提供していることを紹介。このヒントでは、これまでICTをあまり使ってこなかった教員を対象に、端末の基本的な活用やオンライン授業、家庭への持ち帰りでのヒントを基本的な部分から解説している。ほかにも、教員の働き方改革に向けて、家庭とのやり取りをデジタル化するテンプレートも公開が予定されている。
児童生徒向けには、これまで提供してきた「教育版マインクラフト」「MakeCode」に加え、中高生向けの「Hacking STEM」日本語版や、最先端のテクノロジーを文系理系問わずに学べる大学生向けの「MS Learn」といった新しい無償コンテンツを紹介。さらに、インクルーシブ教育に向けたアクセシビリティ機能の充実にも触れた。
家庭・保護者向けとしては、「Microsoft atLife」でパソコンの設定や基本操作などを詳しく説明している。そのほか、小学生向けのドリルやパズル、中高生向けの時間割テンプレート、Microsoft Teamsのバーチャル背景などがダウンロードできる「楽しもう Office」も紹介された。
そして、高校でも1人1台の端末が整備されることを受けて「ひとり一台学びを支えるプロジェクト」が4月15日にスタートしたことを発表。プロジェクトのWebサイトでは、生徒主体で取り組む新しい学びの事例や、高校生活と学びを支援するコンテンツ、アクセシビリティをはじめとした生徒の多様性を支援する同社の取り組みを紹介するコンテンツなどがまとまっている。
説明会に登壇した、日本マイクロソフトの業務執行役員である中井陽子氏は「急速に整備が進んだ1人1台の環境を活用し、児童生徒の力を伸ばしていくお手伝いをしたい。その第一歩が始まったと考えている」とコメントした。
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