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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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イベントレポート(EdTech動向)

英語教育と相性の良いEdTech、導入により学びはどう変わるのか?


 2020年度から小学校でも必修化となった英語教育。グローバル時代に重要性を増す教科の1つだが、実は英語学習こそAIなどのEdTechが活きる分野だという。AIを活用した英語スピーキング評価技術「CHIVOX (チボックス) 」を提供するアイードが、英語教育をテーマとしたウェビナーを9月26日に開催。その活用や可能性についてディスカッションした。

EdTechは「スパイス」、それぞれの学習者に合ったものを

 アイードは新型コロナウイルス感染症拡大による教育への影響に対し、「学びを止めない!」シリーズとしてウェビナーを継続開催している。3回目となる今回のテーマは「英語教育」だ。

 ウェビナーに参加したのは、中央大学 国際情報学部 准教授の斎藤裕紀恵氏、工学院大学附属中学校・高等学校 ラーニングマネージャの高橋一也氏、英語音読学習アプリ「カラオケEnglish」を開発するREKIDS 代表取締役兼CEOの行正り香氏、eラーニングシステム「すらら」を提供するすららネット 代表取締役社長の湯野川孝彦氏、デジタルハリウッド大学大学院教授で一般社団法人教育イノベーション協議会の代表理事も務める佐藤昌宏氏、アイードの営業企画本部長である窪田優希氏の6名。

右上から時計回りに、工学院大学附属中学校・高等学校 ラーニングマネージャ 高橋一也氏、アイード株式会社 営業企画本部長 窪田優希氏、デジタルハリウッド大学大学院 教授 佐藤昌宏氏、すららネット株式会社 代表取締役社長 湯野川孝彦氏、株式会社REKIDS 代表取締役兼CEO 行正り香氏、中央大学国際情報学部 准教授 斎藤裕紀恵氏
右上から時計回りに、工学院大学附属中学校・高等学校 ラーニングマネージャ 高橋一也氏、アイード株式会社 営業企画本部長 窪田優希氏、デジタルハリウッド大学大学院 教授 佐藤昌宏氏、すららネット株式会社 代表取締役社長 湯野川孝彦氏、株式会社REKIDS 代表取締役兼CEO 行正り香氏、中央大学国際情報学部 准教授 斎藤裕紀恵氏

 ウェビナーは斎藤氏、高橋氏、行正氏、湯野川氏、窪田氏によるパネルディスカッションが中心で、最後に佐藤氏が感想を語るという流れで進んだ。

 斎藤氏と高橋氏はそれぞれの教育現場でEdTechを利用した授業を実践しており、行正氏、湯野川氏、窪田氏はEdTechの教材やシステムを開発している立場になる。

 斎藤氏は、コロナ禍で「Zoom」と学習マネジメントシステム(LMS)を使って授業を行っている。やり方は反転授業で、事前に課題を渡してZoomのブレイクアウトルームを使いプレゼンを行う。最後のレポートはLMSを使って提出、という流れだ。授業終了後のアンケートでは、学生たちがオンライン授業に好感を持ったことがわかったという。「ほとんどの学生が、Zoomを使ってオンラインの授業に積極的に参加できる、グループプレゼンテーションができると回答してくれた」と斎藤氏。

 斎藤氏はEdTechを「カレーのスパイス」に例えて、次のように語る。

 「AIやVR、アプリ、オンライン会議ツールなどのEdTechは学びを豊かにするスパイス。それぞれの学習者にあったスパイスを選ぶことで学びを深めることができる」(斎藤氏)

 高橋氏は教育のノーベル賞とされるGlobal Teacher Prize TOP10に日本人として初めて選ばれた経歴を持つ。現在は教育の質を高めるため、EdTechよりも教員支援にフォーカスしているという。

 パネルディスカッションでは、英語とEdTechを大きなテーマに、以下のポイントについて意見が語られた。

  • コロナ禍での英語学習の変化
  • 個別最適化の点から見た、英語の新しい学びについて
  • 日本の英語教育をEdTechでどう変えていけるのか

習慣の有無で分かれた、コロナ禍におけるオンラインの自学

 コロナ禍で英語学習のオンライン化は進んだのだろうか? 斎藤氏の問いに対し、行正氏は「現実的には厳しいと感じている」とした後、「EdTechツールが存在すること自体を先生や自治体が知り、これらを利用して『学びを止めない努力をしなければ』と思うきっかけにはなったのでは」と述べた。行正氏のREKIDSは、声を出し続けることで英語が話せるようになるセルフラーニング教材「カラオケEnglish」を提供している。

 一方で、1500の塾や学校が導入し約11万人が利用する「すらら」の湯野川氏は「かなり変わった」とふり返る。約5万人の子どもを対象にコロナ禍の学習行動を分析したところ、3月の一斉休校以降「すらら」の利用が急増。一斉に家庭で学習するようになったことがわかったという。「じわじわ使われるのかと思いきや、急に跳ね上がったので驚いた」と湯野川氏。なお、「すらら」は自学を基本とするが、「先生が生徒にメッセージ送る機能を使っていればいるほど、家庭学習も増える」という相関関係も見られた。湯野川氏は「先生の関わり方で生徒の家庭学習の状況が大きく変わる」と解説した。

 さらに興味深いのは「習慣」の重要さだ。コロナを機に「すらら」を導入した場合と、コロナ以前から導入していた場合では、コロナ以前から使っていた学校のほうが生徒の学習時間が長いことがわかったそうだ。「結論として『学びを止めない』は実現できている。日頃からやっていたところは、非常時でもうろたえることなく子どもたちの学習が進んでいる」と語った。

 これに対し、斎藤氏は「客観的なデータがあると学校への導入が進む。EdTechの導入が早いほど学びを習慣化しやすいというのは大事な点」とした。

 実際、2015年に学校インフラのオンライン化に着手し、すでに「Slack」などのICTツールを導入済みだった、高橋氏の工学院大学附属中学校・高等学校は、国際的な学校ネットワークである「Round Square」に参加しており、海外の生徒とつながってディスカッションしているという。7月に米国に端を発して世界に広がっている「Black Lives Matter(BLM)」について、有識者と生徒が英語でディスカッションし、その内容を日本語にしたものを滋賀県の公立高校の生徒に送って英語の学習に役立てもらうなど、国内でのコラボレーションも進めている。

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EdTechを活用した個別最適化の限界とは?

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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