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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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「デジタルハリウッドアカデミー」セミナーレポート

オンライン授業が難しい実技科目、自律的学習を実現する「動画教材活用のコツ」とは? デジハリが長年のノウハウを解説

(IT系実技科目×遠隔授業)学生の自律的学習を実現する「動画教材の活用方法」とは

 新型コロナウイルスの影響もあり、さまざまな教育の場面で遠隔授業が広く行われるようになってきた。現場での試行錯誤も続いており、特に実技科目での指導の難しさを感じている人は多い。そうした課題感のもと、「デジタルハリウッドアカデミー」では、5月19日にWebデザイン・グラフィックデザイン等のデジタルスキル教育における「IT系実技科目の遠隔授業」についてウェビナーを開催した。デジタルハリウッド大学・デジタルハリウッド大学院の准教授であり、Webデザインの専任講師を務める栗谷幸助氏が、これまでの経験から得た、遠隔授業のコツや工夫について紹介した。

デジタルハリウッド大学およびデジタルハリウッド大学院 准教授/デジタルハリウッド専任講師、NPO法人 iTeachers Academy理事 栗谷幸助氏
デジタルハリウッド大学およびデジタルハリウッド大学院 准教授/デジタルハリウッド専任講師、NPO法人 iTeachers Academy理事 栗谷幸助氏

目的や手法など、多様化が進む「動画による遠隔授業」

 一般に動画による遠隔授業には、大別して、基本的な知識やスキルを繰り返しで漏れなく学べる「オンデマンド型」と、直接参加者と双方向でやり取りしながらスキルや知識を共有・深める「ライブ配信型」の2つが存在する。そして、それぞれの特徴を活かした手法にはさまざまなものがあるという。

 栗谷氏は、「デジハリ・オンラインスクール」で「オンデマンド型」に課題提出を組み合わせた授業を担当するほか、「オンデマンド型」と教室の講義を「ライブ配信型」で組み合わせたり、デジハリ専門スクールの反転授業で「オンデマンド型」の動画を活用したり、「オンデマンド型」と教室での講義のメリットをそれぞれ組み合わせてブレンディッド・ラーニングの授業を実施したりしてきた。また、別の通信制大学においても、「オンデマンド型」授業での非常勤講師を務めている。

 さらに、デジタルハリウッドの講義系の授業では、日ごろから事例の紹介や作品の共有・評価などに「ライブ配信型」を活用しており、トークセッションやイベントなどを「ライブ配信型」で行うこともあったという。

 「動画による遠隔授業」といっても多彩であり、目的も異なれば、手法や使用する機器なども異なるというわけだ。

「オンデマンド型」授業のコツはシラバスと質問対応

 デジタルハリウッドの「オンデマンド型」授業は、受講生に対して「ANY(エニー)」と呼ばれる学習管理システム(LMS:Learning Management System)を公開し、その中で実施している。受講コースごとに動画が格納されており、学生は自主的にそれらを閲覧して、ひも付けられたレポートを提出することで受講が完了する仕組みだ。

「ANY」の受講画面(サンプル)
「ANY」の受講画面(サンプル)

 こうした動画閲覧による自主的な学習について、栗谷氏は「事前に学習回ごとの目的や狙いをまとめ、シラバスとして履修者に周知することが重要」と語る。また、学習における留意点や視点・観点などをドキュメント化して配布することもあるという。自発的な学びを継続させるために、ゴールを提示し、完走をイメージできるよう情報を提供しておく必要があるというわけだ。

 そして、さらにもう1つのポイントとなるのが、「質問対応」だ。栗谷氏は「受講者側からの質問があって答える形のほうが学びの定着につながることが多い。そこで、最低限のFAQは「ANY」に掲載しておくが、基本的には学生から質問されたら回答するようにしている。特に『出そうな質問』に関してはあらかじめドキュメントを準備しておくことで、テンポを崩すことなく授業を行える」と語る。

 リアルな場所での授業の場合、質問はその場で即時に解決できることが多い。しかし遠隔授業では、文字ベースで回答するため時間がかかり、テンポを崩したり、ほかの学生を待たせたりすることもある。そこで、準備しておいたドキュメントを提示することで、スムーズに回答するというわけだ。

 さらに栗谷氏は「ドキュメントだけでなく、動画によるフォローも一考」と話す。「技術的なことは口頭やテキストで回答するよりも、自分の手元を動画で撮影して見せるほうがわかりやすく簡単。PowerPointやKeynoteに音声を入れる形でもいいし、Zoomの録画機能を使うのもいい。想像以上に簡単に動画を作成することができるので、試してほしい」と続ける。動画はアーカイブしておき、再利用することもできる。

次のページ
技術の進化で可能性が広がる「ライブ配信型」授業

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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