はじめに
緊急事態宣言の4月7日以降、多くの民間教育事業者が苦境に立たされています。特に中小規模の教室は厳しい状況です。教室での授業や、ワークショップ・イベントを開催することができません。これによってサービスの継続、さらには会社の存続自体に黄色信号が出ています。当社もその1社です。
そんな中、各教室が取り組んでいるのがオンライン化です。学習塾もピアノ教室も英会話も、ZoomやSkypeを使ってレッスンをしたり、YouTubeで動画配信をしたりしています。
ステモンもオンラインレッスンを急遽スタート
当社が運営する教室「ステモン」も、4月6日にオンラインチームを立ち上げ、4月13日からオンラインレッスンに変更しました。
ステモンは、STEM教育の領域を「つくることで学ぶ」教室で、2013年10月から運営しています。このステモンの最大の魅力は、「コミュニティ=子どもたちがワクワクする居場所」です。
教室という同じ空間でワイワイやりながら同じテーマのものづくりを楽しむ。そして出来上がったものはみんな違う。まさに、みんな違ってみんないい。子どもたちはこれを体感しながらSTEMを学ぶことができます。これが、ステモン最大の特徴です。
オンラインをやらない選択肢はない
このようなステモンの魅力を「オンラインレッスンで生かすことができるのか?」と困惑しました。
しかし、
- 3月2日以降続く休校で学びが停滞している子どもたちのため
- 子どもに楽しく夢中になる活動をさせてあげたいけど、どうしたら良いかわからないという保護者のため
- サービス存続(会社と社員を守る)のため
にも挑戦するしかありません。
4月6日、荻窪本校を拠点に社員7名のオンラインチームを編成して取り組むことにしました。
「ライブ双方向」か「動画配信」か
まず考えたことは、Zoomなどを使った「ライブ双方向型」と、「動画配信型」のどちらにするかです。それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
ライブ双方型レッスン
メリット
- みんなで一緒にレッスンをやっている感覚になれる。
- 子どもがその場で質問できる。
- リアルな教室ほどではないが、講師も子どもたちの状況を確認しながら声をかけられる。
デメリット
- 講師に対して子どもの人数が増え過ぎると、丁寧な個別対応が難しい(講師1人に対して子どもが6人を超えると厳しい)。
- インターネット環境やパソコン機器のトラブル発生時、レッスンを続けられなくなる。
動画配信型レッスン
メリット
- 子どもが自分のペースでじっくり取り組むことができる。
- 聞き逃したところを何度でも聞き直せる。
- 都合の良い時間に視聴できる。
- 講師としては、ライブよりも伝えたいことを丁寧に伝えやすい。
デメリット
- 子どもがその場で質問できないため、質問を受け付ける別の手段が必要。
- ライブ以上に、言葉の定義やスライドなどに気を使う。
- 撮影や編集など、動画の作成に手間がかかる。
ステモンはフランチャイズを含めると、全国に80教室ほどあります。一部の教室はライブ双方向型レッスンを行っていますが、都内を中心とした大半の教室では動画配信型レッスンを選択しました。
理由は、じっくり自分のペースで動画を見て学んでもらえるのと、ライブ双方向型で実施した際のトラブルがどうしても発生してしまうだろうと思ったためです。
私は東京都と大阪市のプログラミング教育推進事業者として2017年から2019年にかけて3年間、多くの公立小学校のプログラミング教育に関わらせていただきました。
その際、授業公開や研究発表などを先生たちと一緒に取り組みましたが、機器トラブルに何度も悩まされました。一部の児童のパソコンに不具合が発生すると授業が進まないのです。
これと似たことがライブ双方向型で実施した際に起こるだろうと考え、ご家庭ごとのペースでできる動画配信型にしました。