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つくることで学ぶ「STEM教育」のはなし

STEM教育を実践してわかった、「公教育」と「民間教育」それぞれの役割

つくることで学ぶ「STEM教育」のはなし 第2回


 最近メディアで「STEM教育」という言葉を目にする機会が増えてきました。筆者は2014年から小学生向けSTEM教育に取り組んでおり、STEM教育が日本の教育を次のステージへ移行させる最も有効な手段だと考えています。連載1回目の前回は、STEM教育が重要だと思う理由についてお話ししました。今回は「公教育」と「民間教育」の両方に携わった筆者が、それぞれSTEM教育において何ができるのか、考えをお伝えします。

社会で活躍する力を育むため、公教育と民間教育は何ができるのか?

 私が運営するSTEM教育サービス「STEMON(ステモン)」のコンセプトは「『社会で戦う戦闘力』と『人としての豊かさ』をバランスよく育む」です。

 「戦闘力」という言葉からは少し過激な印象を受けるかもしれませんが、「社会で活躍する力」と言い換えることもできます。資本主義社会では相対的に良いものをつくる競争が多く、その競争に勝つためには力を発揮して活躍する強さが求められます。

 一方で、経済的に活躍しても幸せを感じにくい状態もあることから、自然の営みに感謝の気持ちを持つことや、家族や地域、趣味でオープンなコミュニケーションができるコミュニティに所属するなど、人としての豊かさを感じることも大切だと考えています。

 私の問題意識は、時代が変わったことによって求められる素養が変わり、その変化に教育環境の変化がついていけなくなっていると感じたところから来ています。

 特に「社会で活躍するための力」は時代によって変わっていきます。親世代が自分の成功体験やコンプレックスをもとに、子どもたちにも同じ教育を提供することに偏るのは注意すべきでしょう。

 例えばテクノロジーを活用する力や、自由に創造や表現をする力はこれから非常に重要となります。しかし、学校の教科や受験科目に入っていないため、機会格差は大きいのが現状です。

 このようなゆがみを私はSTEM教育で補完できると考えています。ステモンは「テクノロジーを活用したアート教室」のようなスクールです。STEM教育は創作活動との相性が良いのです。

 日本社会全体を考えると、学校教育が時代に合わせて教科を再定義し、受験システムも変えていくことが理想だと考えています。しかしそれには大変長い時間がかかるでしょう。時代が大きく変わっていく過渡期であるがゆえの、公教育と民間教育の役割があると考えています。

公教育が「STEM応用力」をどこまで担えるのか?

 「公立小学校ではSTEM領域の知識を横断的に活用する力(STEM応用力)をどれくらい育めるだろうか?」

 これはステモンを始めたときから湧いていた問いでした。

 偶然にも2017年度、私自身が公立小学校に関わる機会を頂き、現在小金井市立前原小学校(松田孝校長)の5年生の理科講師として勤務をしていました。プログラミング教育ではこれまでも公立小学校に関わっており、何度も教壇に立っていますが、教科を担当するのは初めてです。

 不慣れなことも多く、先生がたからたくさんのアドバイスを頂きながら取り組みました。「赤色のチョークは見えにくい子がいるので使わない」といった基本的なことから、「この実験をするなら、レイアウトはこうしたほうが子どもたちは動きやすい」「すでに自宅学習で結論を知っている子がいる前提で授業をする」など。先生方が持つ授業ノウハウは多岐にわたることを痛感しました。

 この、前原小学校での経験を通じて、公立小学校で「STEM応用力」に対してどの程度取り組めるのか、ということに挑戦しました。

次のページ
前原小学校で実践した、知識を応用する力を育む授業

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この記事の著者

中村 一彰(株式会社ヴィリング)(ナカムラ カズアキ)

 株式会社ヴィリング 代表取締役。教育学部を卒業後、民間に就職。大手とベンチャーの2社に勤務したのち、小学生向け教育事業を行う株式会社ヴィリングを創業。  民間学童「スイッチスクール」(5拠点)、STEM教育スクール「STEMON(ステモン)」(80拠点)、探究型学習スクール「BOKEN」(5拠点...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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