からだの動きで音を奏でるAR楽器「KAGURA」
このワークショップではノートパソコンにインストールされた楽器アプリ「KAGURA」を使い、参加者がさまざまな仕掛けを作りだす体験を行った。
KAGURAは福岡県の企業、しくみデザインが開発したAR音楽ソフトだ。KAGURAの画面にサウンドを設定したアイコンを配置し、パソコンのWebカメラで演奏者の体の動きをリアルタイムに解析して演奏を行う。さまざまな楽器の音を設定して複雑な曲を作ったり、音声を録音したりしてサウンドアイコンに設定することも可能。最大の特徴は、ピアノなどの楽器と異なり、演奏技術がない人でも簡単にオリジナルの音楽を演奏できることだ。
ワークショップのファシリテーターは、SOZO.Edの副代表を務める東京都府中市立府中第三小学校の山内佑輔教諭が担当。これまでにも自由な発想で新しい学びを実践してきた山内教諭ならではの、ユニークなワークショップとなった。
「今日は楽器として使いません!」
山内教諭はワークショップの冒頭で「今日は、KAGURAを楽器として使いません!」と宣言。さらに「ワークショップは、この教室から飛び出して行います」と話し、今回の目的を明らかにした。
なんと、ノートパソコン内蔵のWebカメラで目の前の人などを検知するKAGURAのシステムを使い、会場の好きな場所に「音の仕掛け」を設置するというのだ。例えば「廊下に置いて、人が通ったら音楽を鳴らす」「ドアの前に置いて、来た人に対して音声データを流す」など、「通る人が驚く仕掛けを作ってみよう」というKAGURAならではのおもしろい仕掛けを考えるお題が出された。
山内教諭は、自身が受け持つ図工の授業でもKAGURAを活用したという。「5年生の図工の『空間づくり』で同じようにKAGURAを使ってみたところ、校舎内がアトラクションのようになりました(笑)テープをくぐると音楽が流れたり、絵をタッチするとサウンドが出たり……さまざまな仕掛けを作り、子どもたちは大喜びで楽しんでいました。今度は6年生で挑戦してみます!」と笑顔で話した。
参加者は2人でペアを組み、まずは教室でKAGURAを使って仕掛けを考える。早速音声を入れるチームもあれば、さまざまなアイコンを並べるチームもあり、見ているだけでも非常に興味深い。
作業としては、まず音を決めてアイコンを並べる。次に、実際にカメラに向かって手をかざすなどして、どのように音が出るかを確認する。パソコンをどこに置き、どんな音を出すのかによって、仕掛けの内容も異なってくる。
今回の参加者は小学校や高校などの現場の先生も多かったが、中には中学生や高校生など、現役の生徒も参加していた。印象的だったのは、みんなとても楽しそうに画面に向かっていたことだ。
ワークショップの後半に差し掛かると、仕掛けの準備ができたチームから次々と教室の外へ出て、仕掛けを設置し始めた。エスカレーターや自動販売機の前だけでなく、なんと中学生チームは「エレベーター内に椅子を置き、設置する仕掛け」を組んでいた。