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キーパーソンインタビュー

現役東大生がスマホを活用した勉強法を伝授!「リアルドラゴン桜プロジェクト」

 東京都世田谷区にある日本大学櫻丘高等学校(以下、日大櫻丘高校)では今年4月から「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施している。同プロジェクトでは学校、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」、マンガ『ドラゴン桜2』とその編集を担うコルク、現役東大生の団体「東龍門」が連携。学校の目指す未来を明確にし、その実現を目指す。活動内容は生徒向けの講演や授業から、先生向けの指導法勉強会やコーチング研修と多岐にわたる。日大櫻丘高校では何を期待してプロジェクトを実施するに至ったのか。プロジェクトを担当する澤田彰先生、さらには『ドラゴン桜2』の編集担当であり、実際に生徒に勉強する意味や受験勉強法などを伝授する「東龍門」のリーダー、西岡壱誠さんに話を聞いた。

東大入試のバイブル『ドラゴン桜』

 三田紀房氏が描くマンガ『ドラゴン桜』。元暴走族の駆け出し弁護士・桜木建二が落ちこぼれ高校である私立龍山高等学校の経営状態を良くするため、5年後に東大合格者を100人輩出する計画を考案、特別進学クラスを設け、そのクラスに在籍を志願してきた生徒と共に東大合格を目指す物語だ。

 連載開始は2003年。そしてその2年後の2005年前にドラマ化。連載終了は2007年という少し前の作品だが、東大受験生のバイブル的な存在として扱われている作品である。なぜなら、『ドラゴン桜』の編集を担当していた佐渡島庸平氏は東京大学出身。その佐渡島氏の勉強ノウハウがこの作品に詰め込まれているからだ。

 2018年1月25日、2020年の教育改革を前に『ドラゴン桜2』の連載が始まった。その編集を担当しているのが、現役東大生西岡壱誠さんである。

西岡壱誠さん
西岡壱誠さん

 『ドラゴン桜2』の連載を開始するにあたり、『ドラゴン桜』の編集を担当していたコルクの佐渡島氏は、現役の東大生から勉強法などをヒアリングするため、グループを作ることを考えた。そこで西岡さんに白羽の矢が立ったのだという。

 「僕はライターとしても活動していて、『現役東大生が教える 「ゲーム式」暗記術』や『東大生が教えるずるいテスト術』などの書籍を出していました。それを知った佐渡島さんから話を頂きました」(西岡さん)

 西岡さんは「リアルドラゴン桜」だ。「高校3年生のときに受けた模試の偏差値は35、英語は3点、数学は18点という成績でした。そんなとき、先生に『西岡は中途半端をやめて一歩踏み出しやがれ』と熱く語られたのです。中途半端をやめるなら東京大学を目指そうと思い、2浪して入学しました」と受験を振り返る。

 偏差値35から東大に合格。勉強嫌いの生徒の気持ちがわかるだけではない。偏差値がどんなに低くても、どうすれば逆転できるのか、そのノウハウを持っている。そして、その西岡さんが設立したのが東大生の学び方を研究・分析する団体「東龍門」である。西岡さんは東龍門で得た学習メソッドを作者の三田氏に提言しているという。

「リアルドラゴン桜プロジェクト」とは?

 そうして誕生したマンガ『ドラゴン桜2』と、コルク・東龍門チーム、リクルートマーケティングパートナーズ提供のオンライン学習サービス「スタディサプリ」が連携して取り組んでいるのが「リアルドラゴン桜プロジェクト」だ。スタディサプリと『ドラゴン桜2』がタッグを組み、このプロジェクトを実施するのには理由がある。

 『ドラゴン桜』の連載終了の10年後に始まった『ドラゴン桜2』。「この10年間で教育業界は様変わりしました」と西岡さんは話す。

 「例えば今では多くの教室にプロジェクターがあり、先生もプレゼンテーションソフトを使うのが当たり前になっています。ですが、10年前にはそんな環境はありませんでした。さらに2020年度から大学入試も変わります。新しい大学入試対策について体系的に伝授する人もいません。

 そこで東大生に学び方をヒアリングし、『これからの時代はスマートフォンをフル活用して勉強すると良い』といった話をマンガで展開しました。数あるアプリの中でも、スタディサプリを活用することをポイントとしました」(西岡さん)

 スタディサプリは全国で84万人が利用する学習サービスである。高校においても全国5000校のうち2500校以上が導入。最大の特徴は、小学校・中学校・高校それぞれで学ぶ範囲を網羅し、大学受験に必要な5教科18科目、4万本以上の授業動画が月額980円(税抜)で見放題であることだ。

 このようにマンガで活用を促したことがきっかけで、スタディサプリの担当者と関係を築くことができたという。西岡さんはさらに、実際の高校ではどのようにスタディサプリを活用しているのか取材を進めていった。だが、予想に反して、使い方に戸惑う声を先生から聞くことも多かった

 そこで、自分たち東大生が『ドラゴン桜2』のストーリーをなぞりながら、スタディサプリの活用方法をレクチャーする試みを行ったのだ。

 「生徒から『今までスマホはゲームをするぐらいだったけど、こんなに活用できると気づいて楽しめた』といった声を聞くことができました。東大生が直接、スマホなどのICTを活用した勉強法を教えるのは非常に価値があることがわかったのです。そこで生まれたのが『リアルドラゴン桜プロジェクト』。現在、全国の高校4校で実施しています」(西岡さん)

日大櫻丘高校が「リアルドラゴン桜プロジェクト」に参加した理由

 冒頭で触れた通り、「リアルドラゴン桜プロジェクト」は学校の目指す未来を明確にし、その実現を目指すプロジェクトだ。日大櫻丘高校はどんな未来を目指し、プロジェクトへの参加を決めたのか。同校でこのプロジェクトを担当する澤田彰先生は次のように話す。

 「当校には自学自習を進めていくという方針があります。生徒自ら進んで勉強してもらいたいと思い、全学年にスタディサプリの導入を決めました。当校の生徒はみんな真面目で言われたことはしっかり取り組むのですが、スタディサプリの導入だけでは、自学自習が進められるまでに持っていくことはなかなか難しいと感じていました。そんなときにこのプロジェクトの話を頂きました。『ドラゴン桜』は『なぜ、勉強するのか』を追求しているマンガです。生徒がそれを理解して納得すれば、自学自習を進められると思いました」(澤田先生)

日本大学櫻丘高等学校 澤田彰先生
日本大学櫻丘高等学校 澤田彰先生

 現在、日大櫻丘高校の「リアルドラゴン桜プロジェクト」の活動として、月1回、西岡さんら東大生が教える「リアルドラゴン桜授業」を実施。参加するのは特進クラスの生徒で、1、2年生向けと3年生向けに分かれて実施している。

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受験学習のポイントだけではない――「学ぶ」ことの意味も教える

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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