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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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グロプロ~世界におけるプログラミング教育と、その可能性~

「50センチ革命」の先にあるものとは。未踏ジュニアからLINE BOOT AWARDSグランプリ受賞、SXSW Eduでもピッチをした未踏ジュニアスーパークリエータ

グロプロ~世界におけるプログラミング教育と、その可能性~ 第6回


 2020年度からの小学校プログラミング教育必修化に向けて、全国各地で様々な準備が進んでいます。また、プログラミング教育界隈の注目は小学校に集まっているものの、それから1年後には中学校の技術家庭科においてもプログラミングに関する学習内容が倍増され、そのまた1年後の2022年からは本丸とも言える高校でもプログラミングをすべての生徒が学ぶ新教科「情報Ⅰ」がはじまります。また、教育課程外におけるプログラミング教育も都市部を中心に大変盛り上がっており、プログラミングスクールの数も激増し、その成果を発表するプログラミングコンテストも数多く開かれるようになってきました。

 その中で、経済産業省所轄のIPA(情報処理推進機構)が行っている未踏IT人材発掘育成事業(以下、未踏事業)の卒業生による組織である一般社団法人未踏が2016年から行っている取り組みが、未踏ジュニアです。これは、特に卓越した技術や独創的なアイデアを持つ高校生以下の(17歳以下)プログラマ、クリエータを、以下のようなさまざまな形で支援するもので、年々認知が高まっています。

1. メンタリングの提供

 担当のプロジェクトマネージャ(PM)をはじめ、未踏卒業生らを中心とする各界で活躍するエンジニア・専門家の指導が受けられます。

2. 開発資金の援助

 各グループ50万円を上限として、開発資金の援助を行います。

3. 開発場所の援助

 必要に応じて、開発場所および工作機材の援助を行います。

4. 未踏ジュニアスーパークリエータの認定

 特に顕著な成果を残したクリエータを、未踏ジュニアスーパークリエータとして認定します。慶應義塾大学SFC AO入試C方式の対象になっています。

 2018年度は105件の応募から新しいブロックチェーンのアルゴリズム、IoTデバイスを使った英語学習支援、ディープラーニングを使ったロボットの制御など12件14名のクリエータを採択し、さらにそのうち6件6人をスーパークリエータとして認定しました。今回はその中で、2018年度未踏ジュニアスーパークリエータとして認定された西村さんへのインタビューをお届けします。

西村 惟さん(2018年度未踏ジュニアスーパークリエータ)

 N高等学校2年次在学中。MOA美術館全国児童作品展入選2回 創造性の育成塾10期生 LINE BOOT AWARDS 2018グランプリ・学生賞受賞。SXSW Edu 2019 Student Startup Competition Finalist。

アナログな掃除当番の仕組みを解決するLINE Bot 「Toubans!」

――未踏ジュニアでどのようなものを開発したのか、簡単に教えてください。

 LINE上で設定・通知できる当番通知LINE BOT「Toubans!」を開発しました。新しいアプリケーションのインストールが不要で、設定なども含めてすべてLINE内で完結するのが特徴です。誰でも簡単に使えるように設定画面のUIなどにもこだわっています。もうリリースをしているので、まずはぜひ試してみてください。

――身近な問題をプログラミングとデザインで解決する、まさに「50センチ革命(※1)」ですね。このアイデアはどうやって思いついたんですか?

 今はN高等学校に在学しているのですが、つい最近まで大阪の普通の公立高校に通っていて、その学校では掃除当番を決めるときにこのような紙のルーレットを使っていました(下の写真参照)。ただこれだと、このルーレットを回すのを忘れたり、誰かがいたずらで回してしまったり、いろいろな問題があるんですよね。

実際に学校で使用していたルーレット
実際に学校で使用していたルーレット

 僕は数学研究部という部活で部長もやっていて、プログラミングもそこで学んでいたので、何か技術を使って解決できないかと考えました。そこで活用しようと思いついたのが、クラスのLINEグループです。今どきの高校生って大体どこのクラスも生徒が全員入っているLINEグループがあるんですよ。そこに自動で掃除当番の通知を送ってくれるBotを入れれば、便利なんじゃないかと思いました。

 アイデアを思いついたら、いてもたってもいられなくなって、休み時間にスマートフォン上でコーディングをはじめていました。それで、とりあえず作って自分のクラスで使ってもらいだしたら、まだまだバグとかある状態でも、隣のクラスや他の学年からも使いたいという声があがってきたんです。ただ、このときの実装は、とりあえず自分のクラスで使えるように掃除当番の設定(通知の頻度やメッセージ)がすべてプログラムの中に埋め込まれてしまっていたので、プログラミングができない他の生徒が掃除当番Botを他のクラスで運用する、ということはちょっと現実的じゃないかな、と思っていました。

※1:50センチ革命

 2017年に経済産業省が設置した『「未来の教室」とEdTech研究会』の提言において、身近な問題を発見して自分の力で解決していく、という意味で使われている。

 『「50センチ革命」を起こす人材を育てるため、公教育と民間教育それぞれができることとは』(EdTechZine)などを参照のこと。

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未踏ジュニアがなければ諦めていたかもしれない

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この記事の著者

鵜飼 佑(ウカイ ユウ)

慶應義塾大学環境情報学部卒業後、東京大学大学院修士課程修了。水中ロボットを用いた水泳教育支援システムの研究開発を行い、2011年には情報処理推進機構より未踏のスーパークリエータに認定される。その後マイクロソフトのオフィスやマインクラフトエデュケーション開発チームにてプログラムマネージャを務め、Off...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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