民間に仕事をお願いするには、行政にもノウハウが必要
公立の学校で必要とされるすべての業務を公務員だけで担うことはできません。今回は新宿区の事例を中心に紹介しながら、公教育の産学連携についてお話しします。
第2回のテーマでもありましたが、ICT機器の整備は民間と一緒に進める必要があります。どのような教育を実現したいのか、教育委員会でもビジョンが明確になっていなければ、巨額の投資が無駄になってしまう可能性があります。
インターネット上でも、ICT環境の整備について事例が紹介されています。こうした情報を事前に確認することも有効です。
学校でプログラミング教育を行う際にも、民間との連携が必要です。これまでも、学校ごとにさまざまな取り組みが行われてきました。
新宿区立落合第六小学校ではSCSKグループの社会貢献活動「CAMP」と連携し、授業を行っています。平成29年度の授業は小学6年生で合計2回行われており、小さなコンピューター「ピコクリケット」を用いて、ロボットを動かしたり音を鳴らしたりする、ロボットコンテストが開かれました。
落合第六小学校の竹村校長は、他区の小学校に勤務していた2009年から、ピコクリケットを使ったワークショップに取り組まれてきました。その結果、ノウハウが蓄積されています。プログラミングが必修化される前から熱心に動いている先生方がいらっしゃる一方で、先生の間でも温度差があり、取り組みを広げられるかが今後の課題です。
新宿区では授業以外でもプログラミング教育の機会が提供されています。学外では、「レガスサイエンスフェスタ」というイベントが毎年行われています。こちらは科学体験や工作体験ができる小学生向けのイベントで、タブレットによるプログラミングや3Dプリンタを用いた教室、ロボット操作などのプログラムが用意されています。民間によるさまざまなプログラムを1日で体験することが可能です。