はじめに
ICT機器は導入後も定期的に更新する必要があります。新宿区では、平成29年度の夏に一斉更新を実施しました。タブレットパソコン、電子黒板機能付きプロジェクター、実物投影機(平面の書物だけでなく立体物もスクリーンやディスプレイに投影できる機械)の導入などに、5億6000万円の予算が計上されました。新たな機器の導入は簡単に見えてしまうかもしれませんが、実は多額の公費がかかります。また、人口の多い自治体は財政的負担がより大きくなる傾向があり、意思決定には慎重な議論が必要となります。
そこで、まずはICT機器の更新を行う際に何を重視すべきか、多くの公費が投じられた機器を無駄にせず活用するため、必要なことをお伝えします。
Windowsタブレットは、使用する場所を選ばない
私が小中学生の頃は、コンピューター室にデスクトップパソコンが設置されていることが一般的でした。その後ノートパソコンの導入が進み、昨今ではさらに軽量で小さいタブレット端末の導入を検討することが増えてきました。
デスクトップパソコンや重量のあるノートパソコンとは異なり、タブレット端末を利用すると、コンピューター室以外でも学ぶ場所を確保することができます。そのため、教室や課外活動で端末を活用する選択肢が生まれました。
タブレット端末といえば、iPadやAndroidタブレットが有名です。さらに軽量なノートパソコンまで選択肢に含めると、ChromebookやMacBookなどもあります。
新宿区では、全校でWindowsタブレットが導入されました。それぞれの学校で約2クラス分の台数が確保されています。端末は「Surface Pro」です。
また、渋谷区のように全児童・生徒に端末を配布する場合もあります。新宿区もコストを抑えることで台数を増やすことは可能だったかもしれません。ですが、Surface Proは他端末に比べ起動時間が早く、さらに専用のペンなど端末の操作性の良さは授業の質向上にもつながるため、優れた判断だったと考えています。
また、他の端末と組み合わせて活用することも有効です。例えば、新宿区では発達障がいの子どもの支援を目的に、iPadも導入されています。iOSには、障がい者支援に有効なアプリケーションが多数あるため、子どもたちが学びにアクセスするために必要な環境を整えることができます。iPadの活用以外では、新宿区立新宿養護学校が視線入力装置を導入し、ICTによって意思表示の支援をしています。
そして、教室に電子黒板機能付きプロジェクターも導入されました。ホワイトボードに直接投影するため別途モニターを用意する必要はなく、スペースも節約できます。さらに板書もデータ化されるため、欠席した児童・生徒にノートを共有することも可能です。実物投影機も導入し、授業の効率化において活用が期待されています。電子教科書も、相性の良い英語から導入が進んでいます。