教育ネットは、さいたま市教育委員会が「教員の校務効率化」と「子どもたちの学びの質向上」を目的に導入した「おたすけ学校AI」の導入・活用事例を教育ネットホームページに公開したことを、10月14日に発表した。
同市は、2022年に「さいたま市スマートスクールプロジェクト(SSSP)」を本格稼働させ、生成AIを活用した教育現場の改革に取り組んでいる。このプロジェクトの一環として、2024年9月より市立小・中・特別支援学校において、おたすけ学校AIの実証導入を開始した。約6000名の教員が対象となり、生成AIの活用が校務の負担軽減や創造的な活動の推進につながるかを検証している。
おたすけ学校AIは、学校における校務、学習を支援するためのチャット型AI。教員の業務を効率化し、省力化することで、教職員が学習者のための探究的な学びや先進的な授業を行う時間とリソースを確保することを目指している。また、生成AIだけでなく、独自のシナリオベースプログラムも組み込まれているため、現場の要望にあわせたプロンプトを組み込むことができ、プロンプトなどの専門知識がなくても、用途にあわせてボタンを押すだけで利用が可能である。
教育ネットでは、2025年6月18日から8月31日の期間に、同市におけるおたすけ学校AIの利用ログデータの調査を実施した。その結果、利用ボタンについて、次図のような結果が得られた。

一番活用されているボタンは「自由に質問する」だった。疑問などがあった際、気軽におたすけ学校AIに質問していることがうかがえる。次に多いのが「おたより作成」、続いて「所見作成支援」。文書作成にまつわる校務に、おたすけ学校AIを活用して行っていることがわかる。
実際に利用した教員からは「文書作成にかかる時間が減り、授業準備に集中できるようになった」「子どもと接する時間を確保できるのが大きい」といった声が寄せられた。
なお、同市教育委員会は、教育現場におけるAIのさらなる活用を目指し、今後の展望として2つの方向性を掲げている。ひとつは教員による生成AIのさらなる日常的活用を推進し、市全体で校務効率化を進めること。もうひとつは、児童生徒による深い学びの実現である。子どもたちが生成AIを正しく活用できる力を育成するために、教育委員会は学校現場の実践に伴走しながら、生成AI時代にふさわしい学びの在り方を研究・推進していく方針である。
また、同社では、生成AIの教育的活用を広く支援する取り組みとして、児童生徒向けの出張授業や教職員向けの活用研修を継続的に実施している。今後も現場の実情やニーズに寄り添いながら、教育DXの推進と校務支援の両面から、学校現場の変革に貢献していく。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア