みんなのコードは、「中央教育審議会 教育課程企画特別部会 情報・技術ワーキンググループに向けた提言 ー次期学習指導要領での情報活用能力の抜本的向上に向けてー」を、9月24日に発表した。同提言は、次期学習指導要領の議論に資するものとして、子どもたちが「本当につくりたいものづくり」を実現できる情報教育の姿を示している。

2024年12月、文部科学大臣は中央教育審議会に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問し、小中高等学校を通じた情報活用能力の抜本的向上を図る方策が検討事項となった。また、2025年9月に教育課程企画特別部会が公表した「論点整理(案)」では、小学校における「情報の領域(仮称)」や、中学校における「情報・技術科(仮称)」の新設などが示され、今後、情報・技術ワーキンググループ(WG)で詳細な検討がされる予定である。
みんなのコードは、こうした国の議論に先立ち、2022年4月には「2030年代の情報教育のあり方についての提言」、2024年7月には「小・中・高等学校における情報教育の体系的な学習を目指したカリキュラムモデル案」を発表し、次期学習指導要領を見据えた検討を続けてきた。一連の提言の中には、「小学校における『情報を学ぶ時間』の新設」「中学校における『技術・情報科』の新設 への再編」「高校における必履修科目の増加など情報科の充実」といった内容を提議しており、現在の論点整理に示された方向性とも重なっている。
「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について(諮問)」には、2030年代の情報教育について、デジタル技術の発展がもたらす「多様な個人の思いや願い、意志を具現化し得るチャンス」があると示されている。しかし、子どもたちがそのチャンスをつかむためには「情報・技術は自分の道具で、今後新しい技術が出てきても活用できる」という信念が必要となる。そのためには、自分の興味関心に基づき、心からつくりたいと思う「ものをつくる体験」が不可欠で、そうした体験の繰り返しが情報技術の発展による「チャンス」をつかむ基盤になると、みんなのコードは考えている。
一方、実際には「大人がつくらせたいものづくり」に終始してしまっている例もめずらしくない。みんなのコードは、情報・技術WGでは、「子どもたちが本当につくりたいものづくり」の実現に向けた議論に期待しているという。関連して、次の観点についても検討が不可欠であると考えている。
生成AIなどの新技術への対応
- 生成AIが社会に与える影響を考慮し、AIリテラシーをリスクと活用の両面から捉えた学習指導要領への明確な位置付け
- 技術の進展に柔軟に対応できるよう、タイムリーな学習指導要領の改訂
多様性包摂・DE&I
- 多様な背景をもつ子どもたちにとって魅力的な活動の例示などの工夫
- 教科書・教材作成など、改訂後も多様性包摂・DE&Iの観点が重視されるような検討
- その際、すべての委員が多様性包摂・DE&Iの視点をもつこと
小・中・高を通じた、体系的な情報教育の実現
- 情報教育の特性を生かした活動を通じて、卒業時に身につけたい資質・能力
- 小学校における情報技術の「特性の理解」など、新たに加える内容等が実践につながるための工夫
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