GIGA第1期で見えた課題──混乱なくOSを移行できた理由は?
岡:すでに万全の体制でGIGAスクール構想に着手された印象ですが、GIGA第1期はどのような取り組みを進めたのですか?
谷藤:徳島県による共同調達という形でWindows OSのタブレットPCが選ばれました。
ただし、この端末に関しては起動スピードや集中管理がうまくいかず、バッテリー関連のトラブルも多いという端末特有の仕様があったようで、授業で使うのに苦労が大きかった面がありました。Windowsの良さはもちろんありましたが、うまく改善できずにいたため良い状態ではなかったというのが実情でした。
岡:課題を抱えながらの運用は厳しいですね。今回Chromebookをお選びいただいた理由もそこにあるのですか?
谷藤:実は昼間小学校、足代小学校の2校はGIGA第1期の途中からChromeOSとGoogleクラウドベースでICT教育を実践していました。現在の徳島県教育委員会教育長の中川 斉史氏が校長を務めていたこともあり、時代の先を見越して決断されたようです。
そのときのノウハウがあったため、GIGA第2期を迎えるにあたり、Chromebookを選ぶことが決まった後でも大きな混乱はまったくありませんでした。逆に中川氏ご自身がGoogle Workspaceの事前準備をしてくださっており、Chromebook導入以前からグループチャットなどで先生方が先行してGoogleの代表的なアプリに触れる機会がありました。そのおかげもあり、OSが変わったにもかかわらず、混乱はありませんでした。

岡:うまくノウハウを引き継いで万全の体制でスタートが切れたのですね。
谷藤:東みよし町教育推進会議を設置してその中に様々な部会を設けています。ICT教育や学校DXに関する部会もあり、そこで様々な情報交換をすることで、町といっしょに学校のICT教育を推進しています。この取り組みもノウハウを共有するのに役立っています。
岡:東みよし町のICT教育への積極的な姿勢が垣間見えますね。谷藤様はICT支援員という立場で加わっているのですか?
谷藤:実は2025年6月から、「ICT指導員」に役職が変わりました。教員免許も持っていますから、これで授業もできる形で活動ができます。たとえば各学校への訪問日に合わせてローマ字の指導をおこなっています。GIGA第1期の途中から2年生を対象に始めたところ、早期からタイピングができるようになりました。これにより、ICT機器を使った授業をよりスムーズに、町内統一のカリキュラムで進めることが可能となっています。
木藤:ICT支援員の場合、先生のサポートという立場に留まってしまいますが、ICT指導員の場合その制約はなくなりより広範囲でサポートしていただけるようになります。東みよし町で進めてきた施策を考えると、ICT教育をしっかりサポートしていただける人材の必要性を感じますし、谷藤さんの功績は非常に大きかったと思います。継続的にICTへの取り組みを積み上げていくために、今後もご助力いただければと考えています。