GIGA端末処分の現状は? 国も求める「適切な処理」
児童生徒のデータプライバシー協会は、GIGA端末の更新時に情報漏洩リスクがあることの啓発と、適切な端末処分・データ消去方法の周知を中心に活動する法人で、2025年1月31日に設立された。多久市長の横尾氏は、専門委員として参画している。

説明会では、まず塚本氏が同法人が誕生した背景として、GIGAスクール構想の状況や、国のGIGA端末の処分方針を説明した。
2025年度から2027年度にかけて、小中学校に導入された約950万台のGIGA端末が更新時期を迎える。これは国内の新品パソコン出荷台数に匹敵する規模であり、大規模な処分が必要となる。その際、端末に残された児童生徒のデータについては漏洩を防がなければならない。
2023年10月、文部科学省・経済産業省・環境省は連名の事務連絡として、全国の都道府県教育委員会に対し「小型家電リサイクル法等での処分」と「確実なデータ消去等の徹底」の方針を発出した[※1]。また文部科学省は、第2期端末整備計画における補助金要網の条件として、GIGA端末の処分方法・データ消去方法を記載したリサイクル計画の策定・公表を義務付けており[※2]、情報漏洩を防ぐ万全の対策が求められている。
同法人が2024年11月、小中学生の子どもがいる保護者687人に独自調査を行ったところ、82%の人が子どものデータ流出を不安に思う一方で、GIGA端末内のデータの処分方法を知っている人は30%にとどまった。そして、78%の保護者が専門業者による処理を求めている結果となった[※3]。
加えて、この1年間、教育現場では複数の情報漏洩事例が発生している。例えば、大阪府藤井寺市ではGIGA端末などが接続するネットワークのアカウントが不正アクセスを受け、約5000人分の児童生徒の学習データや写真データが流出する可能性が生じた。その結果、約1カ月の間児童生徒の端末の利用が禁止された。また、富山県富山市ではGIGA端末で回答した、いじめに関するアンケート結果が一時的に閲覧可能な状態となり、沖縄県宮古島市では処分予定のパソコンからSSD(記憶媒体)が抜き取られ、児童生徒の約20~40人分の情報を含む個人情報が流出する可能性が生じた。さらに、鹿児島県鹿児島市では適切なデータ消去が行われなかったため、前の利用者のGIGA端末に保存されていた写真データが閲覧可能になる事例が21件報告されたという。
[※1]「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末等の適切な処分(再使用又は再資源化)等について」(文部科学省)
[※2]「公立学校情報機器整備事業に係る各種計画の策定要領」(文部科学省)
[※3]「【8割以上の保護者が学習用端末のデータ流出に不安ありと回答】GIGAスクール端末処分時におけるデータ漏えい対策に向け「児童生徒のデータプライバシー協会」を発足。」(PR Times)