複合機導入とJアラートがFAX廃止の転機に
──彦根市教育委員会や市内の小中学校で、従来の紙のFAXを廃止した経緯を教えてください。
彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長 北川尚樹氏(以下、北川):本市では2023年2月にFAX専用機が複合機に切り替わりました。当時、私は小学校で管理職を務めていましたが、FAXが職員室から消えたことは大きな革命でした。業務の効率化はもちろんのこと、職員室にあった大きなFAX専用機がなくなり空間を広く使えるようになったことは、未来を展望できるような大きな改革だと感じました。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長補佐 大西大氏(以下、大西):複合機を本格導入したのは2023年度からでしたが、すぐにこれまでの紙のFAXがなくなったわけではありませんでした。実際に教育委員会が学校に向けて使い始めたのは、2023年度の夏からです。その大きなきっかけとなったのが、同年夏のJアラートの訓練の配信と、インターネット経由でFAXデータの送受信ができる「Epson Connect」の機能を知ったことです。

Jアラートの訓練の日程変更が直前に決まり、市内24の小中学校すべてに連絡するには時間がかかってしまう……という際に、紙のFAXではなく、インターネットによるFAXデータの送信を試験運用も兼ねて初めて利用してみました。実際に行ってみたところ、とてもスムーズに一斉送信することができ、そこからは本格運用に切り替えていきました。
──学校現場での切り替えはスムーズに進んだのでしょうか。これまで使い慣れたFAXから切り替えることへの課題はありましたか。
彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 主査 宮川隆行氏(以下、宮川):切り替え当時、私は学校現場で教員をしておりましたが、FAX専用機がなくなったことで現場が混乱することはなく、スムーズに切り替えられたと記憶しています。

ただ、まだ紙のFAXにしか対応していない外部の方とのやり取りもあるため、完全に切り替えるわけにはいきません。どうしても従来の紙のFAXを併用する場面もあります。
一方、教育委員会と市内の学校のやり取りについては、通常の連絡はメール等に移行し、緊急時の連絡についてはEpson Connectのデータ送信機能で学校の複合機に配信し、強制的に印刷する形で確実に連絡できる仕組みを構築しました。学校現場の教職員、特にFAXをよく使う事務作業を担当する職員に向けては、インターネット送受信の操作説明などを随時共有し、混乱がないように努めています。
導入した複合機はデータとして受信したFAXをプリントすることもできますが、PDFファイルでの保存も可能であるため、FAX廃止と合わせてペーパーレスに切り替えて運用している学校もあります。