学力向上・学習時間短縮の効果も実証済み
──Qubenaの導入実績や事例について教えてください。Qubenaの活用によって実際に成績が向上したり、学習時間を短縮できたりした例はありますか。
慶應義塾大学SFC研究所と連携し、Qubenaによる学習効果の検証を実施しています。2023年度は大阪府の門真市と東大阪市で実証を行い、両自治体において「Qubenaの利用頻度が高くなるほど学力が高まる傾向」を確認することができました。これはQubenaの学習データと、それぞれの自治体で実施された学力調査の結果を掛け合わせて分析し、得られた結果です。
また「学習時間の短縮」も効果が出ています。過去に千代田区立麹町中学校で行った実証実験では、Qubenaを使って数学のある単元の学習を行ったところ「従来の半分の時間で学習が完了」する結果となりました。これはQubenaを活用して生徒が自分に合ったペースで自主的に学んだことによる成果です。もちろんスピードが速くなっただけで、学んだことが身についてなければ意味がありませんが、その後のテスト結果に関しても、以前より高い点数が取れていることがわかっています。
同校では、そうして創出した時間で次の学年の勉強を始めたり、数学を実践的に活用したSTEAM教育の時間などに充てたりしています。学習時間を短縮することで生まれた時間に豊かな活動ができているよい事例です。そのほかの学校でも、同じように学習時間を短縮して、探究的な学びの時間に充てる例が増えています。
細かい表現まで検定教科書に準拠したコンテンツ
──今回「Qubena 教科書×AI コンテンツ」が追加されたのは学校現場からの声がきっかけだと伺っています。どのような要望があったのでしょうか。
先生方に学校現場で使っていただく中で「教科書とQubenaの問題の対応関係がわかりづらい」「授業と異なる題材や用語が出てきたときに子どもたちが混乱してしまう」といった声を頂いていました。先生方の授業内での利用のハードルになるだけでなく、一つひとつの知識の入り口に立つ子どもたちにとってのハードルにもなりかねません。教科書を軸とした授業の学びとドリルの学びの連動性を高め、そうした最初のハードルをなくすことが必要であると感じていました。
── 「Qubena 教科書×AI コンテンツ」の追加によって、これまでのQubenaから何が進化したのか、どのようなシーンで特に使いやすくなるのか、具体的なイメージを教えてください。
先ほどの課題を解決するために、今回開発したコンテンツでは、文部科学省検定済みの主要教科書に並び順・内容が準拠したものとなっています。従来、デジタルドリルの教科書準拠は「目次をそろえる」「習っていない漢字に配慮する」といった大まかな対応が一般的でした。その中で、これまでのデジタルドリルが対応しきれていなかった「教科書に登場する題材や本文まで取り入れたコンテンツ」を提供しているのが今回のQubenaの新コンテンツの大きな特徴です。
例えば、国語や英語ではそれぞれの教科書に掲載されている作品や例文を使った問題を解くことができます。また、理科や社会では、同じ単元でも教科書によって実験の題材が異なったり、事例として取り上げる地域が異なったりと、微妙な差異があります。そういった細かい事例や表現まで、対象の教科書にそろえています。
もちろんQubenaの強みである「AI」が、教科書準拠の問題に対してもしっかり搭載されています。単純に教科書で習った問題が出てくるのではなく、先述の「理解と定着」をサポートする仕組みによって、教科書の内容が個別最適な形で出題されます。こうした「Qubena 教科書×AI コンテンツ」の新コンテンツおよび新機能を、来春にかけて順次リリースしていきます。
中学生向けのコンテンツとしては、単元の理解度を測れる「教科書単元確認問題」と、教科書とまったく同じ例文で学べる「教科書基本例文問題(英語)」をすでに提供開始しています。小学生向けにも教科書に準じた「教科書の練習/まとめ問題」のコンテンツを2024年4月にリリース予定です。
また、利用教科書を問わずに学ぶことができる既存のQubenaのコンテンツも教科書準拠を進めています。来春には教科書の目次と「同じ章名」・「並び順」で学習できるようになり、より便利に使っていただけるようになります。教科書で学ぶ知識の応用力を高めるコンテンツとして、シーンやニーズに合わせて、新コンテンツとともに活用いただければと思います。