中学校では1クラスで2人が不登校に
まずは全体像を把握するために、文部科学省が毎年公表している統計データから、小学校・中学校における不登校児童生徒数の推移を見てみます。
※本記事の図表(図1~5および表1)は、すべて文部科学省(2023)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」をもとに筆者が作成
図より、以下の3点のことがわかります。
- 不登校児童生徒数は30年以上にわたり増加傾向で、令和2・3・4年度中学校の不登校が急増(約13万人→約16万人→約19万人)。
- 不登校割合としては、小学校で約60人に1人、中学校で約17人に1人が不登校。直近3年間、中学校の不登校割合は約4%→約5%→約6%と推移。
- 中学3年生を例外とし、学年が上がるにつれて不登校人数は増加。小学6年生から中学1年生の間で不登校児童生徒数が約1.7~1.8倍に(中1ギャップの存在)。
不登校人数は増えているという事実、そして中学校では不登校が1クラスに約2人いるという現状を受け止め、「不登校児童生徒を学校に登校できるようにする」という思考から離れ、「不登校であっても適切な教育を受けられる機会を整備する」という方向にシフトするべきではないでしょうか。
不登校児童生徒の欠席日数から見える不登校の濃淡
そもそも、不登校とはどう定義をされているのでしょうか? 文部科学省によれば、次のように定義をされています。
長期欠席者(「児日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒)のうち、何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいはより、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」,「新型コロナウイルスの感染回避」による者を除く)。
※文部科学省(2023)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P.69より一部抜粋
簡潔に述べると、不登校とは「病気・経済的理由・新型コロナウイルスの感染回避による欠席を除き、年度間に30日以上の欠席」と言えます。
つまり、登校日数は約200日なので、登校日数に対し30日(約15%)欠席した場合も、90日(約45%)欠席した場合も、すべて欠席した場合も同じように不登校としてカウントされます。
実際の欠席日数の分布を見ると、欠席日数が90日以上の不登校児童生徒は中学校で61.2%、小学校で44.6%となっていることから、中学校の方が欠席日数は多くなる傾向があります。要因のひとつには、中学校では小学校に比べ、授業のペースが速く、難易度も上がることから一定日数以上授業を欠席すると、出席をしても授業についていくことが困難となり、結果的に出席を「諦める」こともあると考えられます。