※本記事の図表(図1~5および表1)は、すべて文部科学省(2024)「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」をもとに筆者が作成
中学校では15人に1人が不登校に
まず、文部科学省の長期の調査データを用い、平成3年以降の小学校・中学校における不登校児童数の推移を見ていきます。
次に、直近3年間の学年別の不登校児童数の推移のグラフを示します。
図より、以下の4点がわかります。
- 小中学校の不登校児童数は約10年前を境に増加率が高まり、令和元年以降増加傾向が顕著で、令和元年の約18万人から令和5年は約35万に。
- 割合としては、小学校で約47人に1人、中学校で約15人に1人が不登校。中学校の不登校割合は、令和元年に約3.9%だったものが令和5年は6.7%に。
- 学年別で見ると、すべての学年で、前年度と比較し増加の傾向。小学校1年生と小学校2年生では、令和3年と比べ、令和5年は約2倍の不登校人数に。
- 実際の欠席日数の分布を見ると、欠席日数が90日以上の不登校児童は中学校で61.4%、小学校で44.2%となっており、欠席日数に濃淡が存在し、中学校ほど長期の欠席割合が多い傾向。
10年・20年・30年前とは状況が大きく変わり、不登校の人数・割合が今後減少していくということは考えにくく、「不登校がいて当たり前」であるのが現状です。そこで「不登校児童生徒を学校に登校できるようにする」という目的よりも、「不登校であっても適切な教育を受けられる機会を整備する」という方向に目を向けるべきと考えられます。文部科学省も、令和5年調査の概要資料において「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)等を踏まえ、不登校の児童生徒全ての学びの場の確保を推進する」と述べています。