産官学連携で公立小中学校に多様な機器をそろえた「STEAM Lab」
今回紹介する「STEAM Lab」は、埼玉県戸田市立戸田東小学校・中学校の校舎内に、2021年6月に設置された。
戸田市は全国でも先進的な教育改革を進めており、「Subject」「EdTech」「EBPM」「PBL」の頭文字から取った「戸田市SEEPプロジェクト」では、授業改善や学習者主体のICT活用、産官学連携による教育研究、STEAM教育の基盤づくりなどを行っている。
戸田東小学校・中学校にSTEAM Labが設置された理由として、戸田市教育委員会の布瀬川裕貴氏は「校舎を新設するタイミングであったのはもちろんだが、かねてより1人1台端末のスペックでは実現できないクリエイティブな学びを実現したいと思い、STEAM Labを構想していた。実証を行うにあたっては小学校と中学校、2つの校種がある点が適しており、何より両校がPBL・STEAM教育の研究に取り組んでいたのが大きかった」と述べる。
STEAM Labの設置にあたっては、半導体メーカーとして知られるインテルがパートナー企業とともに全面的にサポートした。同社およびパートナー企業は、21台のハイスペックのデスクトップPCと4Kのディスプレイ、3台の3Dプリンター、10台のプログラミングロボット、大型提示装置などを提供。
「こちらが用意したのは、机と椅子と、電源タップ類のみ。椅子は以前あったコンピュータ室からの流用で、机も余剰品を利用した」(布瀬川氏)
2021年6月、戸田市とインテルは、STEAM Lab開設とともに「STEAM教育ならびに21世紀型スキル育成教育の推進に関する覚書」を締結し、共同研究を行っていくことを発表した。戸田市とインテルの連携は古く、2016年から戸田市が進めるアクティブラーニングに関する教育研修をインテルと行っていたという歴史がある。インテルは高度IT人材の育成に向けて教育にも注力しており、教員研修プログラム「インテルTeachプログラム」(現在は「インテル Skills for Innovation」) を提供。戸田市でもPBL導入時より活用されているという。