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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZine読者イベントレポート

1人1台のiPadと電子黒板で実現する「生徒が夢中になる協働的な学び」とは?

第18回 EdTezhZineオンラインセミナー「生徒が夢中になる! 1人1台のiPadとAR・電子黒板を活用した協働的な学び」

 児童生徒が夢中になる授業を行いたい──現場の先生は、誰もがそう願って授業に臨んでいる。第18回のEdTechZineオンラインセミナーでは、和歌山大学教育学部附属中学校 ICT教育主任 理科教諭の矢野充博氏が登壇。「生徒が夢中になる! 1人1台のiPadとAR・電子黒板を活用した協働的な学び」と題して、同校が導入しているiPadやアプリを駆使し、理科をはじめとする授業や部活動でARや電子黒板を活用する事例を紹介した。生徒が自らARコンテンツを制作することを通して、理科の単元の理解を深め、さらには部活動や学校行事での活用にも広がり、表現方法が増えていったという。また、電子黒板と「ロイロノート・スクール」を組み合わせることで、生徒の考えが深まり、教室に会話も生まれていった例も挙げられた。

iPadは「1人でじっくり」にも「みんなで共同制作」でも使える

 矢野充博氏は2006年から和歌山大学教育学部附属中学校に勤務し、現在はICT教育主任兼理科教諭として、同校で1人1台導入されたiPadの環境整備に携わっている。2015年にはApple Distinguished Educatorsの認定を受けた。

 理科におけるICT活用のノウハウを伝えるべく、教育関係者向けのセミナーやYouTubeの「Yanoteaチャンネル」などでも発信し、2021年度の「第37回 東京書籍教育賞」では「中学校理科における気象現象の理解を深めるARの積極的活用」というテーマで中学校部門の優秀賞を受賞した。

和歌山大学教育学部附属中学校 ICT教育主任 理科教諭 矢野充博氏
和歌山大学教育学部附属中学校 ICT教育主任 理科教諭 矢野充博氏

 セミナーの冒頭、矢野氏は和歌山大学教育学部附属中学校のICT環境整備について解説。2012年、教員がiPad miniを使い始めたことをきっかけに同校ではiPadの活用が進み、2013年には全教室へApple TVを配備、2019年の新入生からは各家庭が購入する形で1人1台のiPadを導入した。また、教員は校務用PCとしてMacBook Proを使用している。

 iPadの活用について、矢野氏は「iPadは『1人』でも『みんな』でも使える。また視点を変えて、単純にツールとして『利用する』だけでなく、自分がイメージしたことを『表現する』使い方もある」と述べた。

iPad活用の例。自分1人で取り組むことも、多くの生徒で同時に共同制作もできる
iPad活用の例。自分1人で取り組むことも、多くの生徒で同時に共同制作もできる
ツールとして利用することも、自分のイメージを表現することもできる
ツールとして利用することも、自分のイメージを表現することもできる

 なお同校はiPadを導入しているが、ChromebookやWindows PCにも同じことが言えるという。

iPad活用の最終段階では「先生は見守る」だけになる

 続いて、矢野氏は生徒と先生のiPad活用段階として2つのピラミッド図を紹介。それぞれを3つのレベルに分けてレベルごとの解説を行った。

生徒のiPad活用

Level 1:広がり

 既存の学習ツールと置き換えることができる段階。一例としては、今まで手渡ししていた数学のプリントを、iPad上で生徒が自ら取り出しノートに解いていくことにより、教員の配る手間が省かれるといったものがある。

Level 2:深まり

 iPadでしかできない使い方が可能になる段階。例えば、これまで葉の気孔観察で顕微鏡をのぞいて数を数えていたものを、顕微鏡の拡大写真を撮りマークアップすることで、格段に数えやすくなる。さらにiPadであれば、写真を撮って簡単にシェアすることもできる。

Level 3:創造

 チームで協働して新しいものを創造する段階。地元・和歌山県の地形を観察する授業では、波によって岩ができる過程をパラパラ漫画にしてアニメーションをつくる課題を出した。

生徒のiPad活用に関する3つのレベル
生徒のiPad活用に関する3つのレベル

先生のiPad活用

Level 1:知る

 先生自身が活用方法についての情報収集をする。どのようなアプリがあるのかを、知る、調べるという段階。

Level 2:実感する

 実際に授業で使ってみて、その有用性を先生自身が実感する段階。

Level 3:見守る

 先生が見守るだけで、生徒は状況に応じて「今日はこのアプリを使おう」と活用ができるようになる段階。

先生のiPad活用に関する3つのレベル
先生のiPad活用に関する3つのレベル

 ここで、矢野氏がセミナー参加者に「現在どのレベルにいるか」と問いかけると、レベル1から3までさまざまな回答がリアルタイムで寄せられ、先生自身のスキルや経験も多様であることが明らかになった。

次のページ
理科の授業からクラブ活動まで、多様なiPad活用事例

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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