教員がICTを活用し、自走状態になるための6つのポイント
現在、渋谷区立千駄谷小学校の教諭を務め、プログラマーとして授業で使用するソフトウェアの開発も行っている鍋谷氏。教育情報化コーディネータの資格を持ち、「教育現場でのデジタルファブリケーションの可能性を追求」をテーマに、VRやドローン、メタバースなど、最新技術を積極的に学んでいるという。
渋谷区はGIGAスクール構想が始まる以前から1人1台の環境を実現しており、千駄谷小学校では現在「Microsoft Surface Go 2」を児童機および教員機として活用しているほか、2022年度からは75インチの大型提示装置が設置されている。
鍋谷氏は最初に「自走」の定義を「児童生徒自身が、方法や表現など、さまざまなことを自分たちで選択して決定し進み、継続していること」と解説。その上で「そもそも、大人は自走しているのか」という問題を提起し、セミナーをスタートした。
鍋谷氏によると、大人(教員)の自走を支えているのは、以下の6点だという。
(1)使い方がわかる
日々のOJTや練習などによって経験が積み重なり、知識が深まっていく。
(2)実際に使う機会がある
こちらは特に重要で、学校公開や管理職の授業観察などもきっかけとなる。
(3)使う必然性がある
一番よいのは、使うよさがわかっていて、自分で必然性を切り開いていけること。
(4)教えてくれる人がいる
一緒に考えてくれる同僚がいることは非常に重要。得意な教員やICT支援員のサポートを受けるだけでなく、研修会に参加するのもよい。
(5)よりよくできたという経験
試行錯誤して「自分でできた、効率化できた」などの経験が大切。
(6)これらを通して、組織に参加できた実感
「役に立った」という実感は、ICTを使う動機にもなる。
その上で「自走状態」となるためには、努力すれば成長できるという「成長マインドセット」と、ICTを活用するためのスキルセット、変化を前向きにとらえる学校の雰囲気が必要だという。さらに、管理職のリーダーシップやICTが得意な教員のサポートがそろうことで、いよいよ自走状態に入っていけると鍋谷氏は解説した。