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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZine読者イベントレポート

児童が自ら考え、ICTを主体的に活用するために大切なことは何か? 渋谷区立小・鍋谷教諭の実践を紹介

第22回 EdTezhZineオンラインセミナー「児童が主体的に取り組む、自走するICT活用を目指して」


 変化の激しい現代において、自ら考えて行動できる「自走力」は、未来を生きる子どもたちにとって重要なスキルとなる。では、学校現場では、どのように自走力を育んでいけばよいのか。2023年2月に開催されたEdTechZine 第22回オンラインセミナーは、渋谷区立千駄谷小学校 主幹教諭の鍋谷正尉氏を迎え、「児童が主体的に取り組む、自走するICT活用を目指して」と題して開催。1人1台のGIGA端末をはじめとしたICTを活用し、児童だけでなく教員の自走にも結びつけてきた事例を紹介する。自走に向けた工夫だけでなく、ICT活用のさまざまな取り組みも紹介されているので、ぜひ参考にしてほしい。

教員がICTを活用し、自走状態になるための6つのポイント

 現在、渋谷区立千駄谷小学校の教諭を務め、プログラマーとして授業で使用するソフトウェアの開発も行っている鍋谷氏。教育情報化コーディネータの資格を持ち、「教育現場でのデジタルファブリケーションの可能性を追求」をテーマに、VRやドローン、メタバースなど、最新技術を積極的に学んでいるという。

 渋谷区はGIGAスクール構想が始まる以前から1人1台の環境を実現しており、千駄谷小学校では現在「Microsoft Surface Go 2」を児童機および教員機として活用しているほか、2022年度からは75インチの大型提示装置が設置されている。

渋谷区立千駄谷小学校 主幹教諭 鍋谷正尉氏
渋谷区立千駄谷小学校 主幹教諭 鍋谷正尉氏

 鍋谷氏は最初に「自走」の定義を「児童生徒自身が、方法や表現など、さまざまなことを自分たちで選択して決定し進み、継続していること」と解説。その上で「そもそも、大人は自走しているのか」という問題を提起し、セミナーをスタートした。

 鍋谷氏によると、大人(教員)の自走を支えているのは、以下の6点だという。

(1)使い方がわかる

 日々のOJTや練習などによって経験が積み重なり、知識が深まっていく。

(2)実際に使う機会がある

 こちらは特に重要で、学校公開や管理職の授業観察などもきっかけとなる。

(3)使う必然性がある

 一番よいのは、使うよさがわかっていて、自分で必然性を切り開いていけること。

(4)教えてくれる人がいる

 一緒に考えてくれる同僚がいることは非常に重要。得意な教員やICT支援員のサポートを受けるだけでなく、研修会に参加するのもよい。

(5)よりよくできたという経験

 試行錯誤して「自分でできた、効率化できた」などの経験が大切。

(6)これらを通して、組織に参加できた実感

 「役に立った」という実感は、ICTを使う動機にもなる。

大人(教員)の自走を支えているもの
大人(教員)の自走を支えているもの

 その上で「自走状態」となるためには、努力すれば成長できるという「成長マインドセット」と、ICTを活用するためのスキルセット、変化を前向きにとらえる学校の雰囲気が必要だという。さらに、管理職のリーダーシップやICTが得意な教員のサポートがそろうことで、いよいよ自走状態に入っていけると鍋谷氏は解説した。

次のページ
教員の伴走が児童の自走状態を促す

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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