そこに行けば、子どもはもちろん大人もワクワクして、ものづくりをしたくなる。そのような場が、東京の新渡戸文化学園内に誕生した。「VIVISTOP NITOBE」は、3Dプリンターやレーザーカッターなど、最新の設備がそろうクリエイティブラーニングスペースで、同学園の児童生徒が授業を行うほか、土曜日は自由にものづくりができる場として子ども向けに開放されている。ここでは、企業とコラボレーションしながら子どもたちの自由なアイデアで作品をつくったり、親子で自分たちが「つくりたい」ものに自由に挑戦したりと、さまざまな共創が生まれている。第14回 EdTechZineオンラインセミナーには、VIVISTOP NITOBEのチーフクルー/プロジェクトデザイナーの山内佑輔氏が登壇。VIVISTOP NITOBEから生まれたクリエイティブな学びや実践、今後の展望について紹介された。
VIVISTOP NITOBE
先生もカリキュラムも存在しない「VIVISTOP」
「VIVISTOP NITOBE」を立ち上げ、現在も運営を担う山内氏は、前職である公立小学校の図工専科の教員時代、プログラミングロボット「embot」などを図工に取り入れ、自由な発想で授業を実践してきた。
新渡戸文化学園 VIVISTOP NITOBEチーフクルー/プロジェクトデザイナーの山内佑輔氏。東京造形大学非常勤講師のほか、学校を超えた教員のコミュニティ「SOZO.Ed」の副代表も務める
2020年、山内氏は新渡戸文化学園に活動の場を移し、世界各国にクリエイティブラーニングスペース「VIVISTOP」を展開するVIVITAと連携。同学園内にVIVISTOP NITOBEを立ち上げた。VIVISTOPは現在、世界7カ国11拠点で運営されており、設備や運営方法に定義はなく、それぞれの地域の特性を活かして活動している。
「VIVISTOPでは、学びのカリキュラムはなく、先生もいない。21世紀のクリエイティブツールがそろう環境の中で、さまざまなアイデアを実現するために、大人と子どもたちがコ・クリエーション(共創)している。誰にも制約されずに人間的で自由な暮らしをするため、自分たちの手につくる力を取り戻し、自律的に生きていけるようにすることはとても大事なことだと考えている。感性豊かなアートや新しい技術を活用して個人のエンパワーメントを促し、新しい社会をつくっていきたい」(山内氏)
VIVISTOPは日本のほか、エストニアやシンガポールなどにもつくられた