「作りたいプロダクツがある」
――現役高校生の起業家・プログラマー山内氏が講演
今回のユースキャンプは、12歳から17歳までの中高生が受講した。その層はプログラミング未経験者から起業を目指す学生まで幅広い。講座では、3日かけてHTML+CSS、JavaScriptを学び、3日目にはオリジナルのアプリを開発する。ITベンチャーの現役エンジニアがメンターとしてサポートしてくれるので、勉強のためのプログラミングだけではなく、実践的な知識とスキルが身につけられるのも特徴だ。
2日目の1月4日、個人決済サービス「ONEPAY」を開発した山内奏人氏がゲストスピーカーとして呼ばれ、受講生の前で講演を行った。山内氏は16歳の現役高校生ながらONEPAYを提供するワンフィナンシャルのCEO。7歳の時に親からもらったPCで、独学でプログラミングを習得したプログラマーであり起業家だ。
山内氏の親はPCを与えてくれたが、スマートフォンは買ってくれなかったと山内氏は話す。当時使っていたPCはシャープの「メビウス」。12歳の時に賞品であるMacが欲しくて「中高生国際Rubyプログラミングコンテスト」に応募したという。結果は、みごと最優秀賞(15歳以下の部)を受賞した。その後、学校が終わるとプロのプログラマーとして会社でソフトウェア開発をする日々が始まる。
16歳の時、「作りたいプロダクツがある」と独立して自分の会社を設立。当初はビットコインの交換アプリなどを手掛けていたが、程なく店舗での電子決済を簡単に実行できるアプリONEPAYをリリースした。
全員の自己紹介でアイスブレイク
以上が山内氏のプログラマー/CEOとしての経歴の概要だ。自分の紹介が終わった後、山内氏は受講者ひとりずつに自己紹介を促した。名前、学年(年齢)、部活、やりたいことなどを順番に全員が発表する。
ビジネス向けのセミナーや講演では、スピーカーが一方的に話すだけのスタイルが基本だが、この講演では参加者が直接スピーカーとコミュニケーションできる、フリーなスタイルのおかげで、一気に距離が縮まり、発言や質問が続く。
山内氏が講演するためか、自己紹介ではビジネス指向を持った受講者も目立った。北京の学校に通う14歳男子はサイクリングが好きで、バイクを使ったビジネスに興味があると語る。囲碁が趣味の13歳は、中学受験の時の塾の授業が面白かったので、学校の授業ももっと子供たちが興味を持てるように教育改革をしたいと話した。
田舎に住む高校1年生は、ツイッターで山内氏とDMのやりとりをしたことがあり、今日の講演を楽しみにしていたという。夢はITで農業を変えることだ。他にも、建築や都市設計に興味があり、インドネシアに住んでいた経験から渋滞や道路インフラを変えたいという高校1年生女子や、コンピュータサイエンスを学び社会起業家を目指す17歳など、皆さまざまな夢や目標を抱いている。
もちろん、プログラミングやITを学びたいといった動機で参加する人も多かった。ゲーム好きな中2科学部女子、ゲームデザイナーになりたいインターナショナルスクール生(学年は中2相当)、ロボット部で3Dプリンタを使ったデザインをやっている人、PCは初めてだがゲーム制作をしたいという放送部男子(16歳)、生徒会でPCをいじれる人がいないので参加したという中学1年生、といった具合だ。