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iPadを3年間活用した児童自身が「ICTを使う側」の本音を語る――洗足学園小学校「Open Day」

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2021/09/03 07:00

 6月23日、神奈川県川崎市にある洗足学園小学校(以下、洗足小)の6年生による「Open Day」がオンラインで開催された。Appleの教育機関向け認定プログラム「Apple Distinguished School」認定校である同校では、数年前からiPadの導入をはじめとしたICT活用を行っており、6年生が日常的に使っているiPadの活用法や、自分たちの成長の振り返りなどを発表した。当日は80名以上の教育関係者が参加し、子どもたちの発表を見守った。今回、筆者も見学者の1人として参加し、その素晴らしい発表に感銘を受けた。テーマ設定からプレゼン資料作成まで6年生が自分たちでつくり上げたという発表は、ICTを使う側の子どもたちの生の声がしっかりと反映されている内容となっていた。

「1人1台」のiPadを約3年間活用してきた6年生が発表

 Open Dayは「今回は、児童が準備して児童が進行する、児童主体のイベントになっています」という6年生のあいさつからスタート。今回発表するチームとして、以下の6チームが紹介された。

  1. 洗足学園小学校の児童と、ICT教育についての「学校紹介チーム」
  2. iPadを使っている児童の1日に密着した「洗足の1日チーム」
  3. iPadを導入した頃からの成長を作品によって比べる「3年間の成長チーム」
  4. 長年iPadを使っている児童の本音がわかる「こんなこと思っていますチーム」
  5. iPadを使っている児童がほしい機能を紹介する「提案チーム」
  6. 児童と保護者へのアンケートの結果からiPadについての実情を紐解く「アンケートチーム」
司会・進行も、すべて6年生の児童が行った
司会・進行も、すべて6年生の児童が行った

 続いて「校長先生のお話」として、吉田英也校長が登壇し、同校のICT活用の歩みについて語った。

 「ICT化は5年ほど前から始めたものの、専門知識がある教員がいたわけではなかったので、試行錯誤しながらの取り組みとなった」と吉田校長は話す。2018年に当時の3年生から「1人1台のiPad」活用が始まった。その際、ほかの学年への導入も検討したが「せっかく導入しても使わないことは避けたい」との考えから、まずはひとつの学年からスタートした。

 その準備段階として、導入の前年に「3年生のカリキュラム内で、どのような使い方ができるのか」を各教科で検討した。教科担任制のため、年度が替わって誰が担当になっても「この分野ではこの使い方をする」ことをあらかじめ決めていったという。

 その後、加速度的に活用が進んだ結果、2020年度には他学年でも導入が始まり、現在は2~6年生が家庭で購入した自分専用のiPadを所有している。1年生は使い方に慣れるため、学校のiPadを貸し出す形をとっている。

 「iPadの導入で学習スタイルが大きく変わり、児童を中心とした主体的、積極的、創造的な学習になった。最初に『1人1台』になった現在の6年生が3年の間でどのようにiPadを活用できるようになったのか、ぜひ児童の発表をご覧いただきたい」と話した。

洗足学園小学校 吉田英也校長
洗足学園小学校 吉田英也校長

 続いて、教頭の赤尾綾子先生から、同校の教育とOpen Dayの趣旨が説明された。

 全員が中学受験をする進学校としても知られている同校は、「社会に奉仕貢献できる人材・社会のリーダー」の育成を目指している。「ICTを教育の中で活用することにより、リーダーとして必要な思考力、チームワーク力、コミュニケーション能力、創造力の4つの力をつけることができる」と、赤尾先生は話す。

iPadは文房具として、あらゆる場面で活用している
iPadは文房具として、あらゆる場面で活用している

 今回のOpen Dayは、6年生の「総合的な学習の時間」の一環として実施される。「これまでのICTの活用をふり返ることで、自分自身の成長を実感し、ICTとの関わり方を考えるだけでなく、発表の形で社会とのつながりを持たせる」目的があるという。

 さらに、発表に先駆けて6年生の担任である野口さゆり先生からは、授業の目的・身につく力、Open Dayに向けた子どもたちの取り組みついて紹介があった。

 今回の単元は「自分たちの学びを発信しよう」で、「自分たちの学びをふり返る」「学校の人に向けて発信する」「会の計画、準備、進行をする」という3つの目的をもって行った。

身につく力としては、ゴールを目指して思考していく「戦略的思考力」「協働力」などが挙げられた
身につく力としては、ゴールを目指して思考していく「戦略的思考力」「協働力」などが挙げられた

 発表する6年生は全員が受験生ということで、受験勉強をこなしながらも、10時間の授業時間と休み時間を使い、Open Dayのプロジェクトを進めた。

 最初に行ったのがプロジェクトメンバーの募集だ。1学年約80名のうち、23名が立候補したという。メンバーは休み時間に集まり、分担してテーマ設定を行った。

オンラインでの発表は初めてということもあり、リハーサルを2回行い当日のOpen Dayに臨んだ
オンラインでの発表は初めてということもあり、リハーサルを2回行い当日のOpen Dayに臨んだ

 その後は、チームを決め授業としてプレゼン資料の作成がスタートした。その際、役に立ったのが、各教室に3台ずつ設置されているプロジェクターだ。各グループが決定事項を映した資料に書きながら進め、5月のオンライン授業時には、Zoomを使って打ち合わせを行った。リハーサルも児童自身で行い、教室で練習するだけでなく、実際に画面に映してのチェックもしたという。


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著者プロフィール

  • 相川 いずみ(アイカワ イズミ)

     教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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