「教えない」ことから始まった授業
授業はグループワーク形式で 、教材は一般的なタブレットではなく、フィッシャープライスのイモムシ型のプログラミング知育玩具「コード・A・ピラー ツイスト(以下、ピラー)」を使って行う。この教材には5つのパーツに動きを指示する4つのダイヤルがついており、プログラミングに必要な論理的思考力を育てるとともに、子どもたちの自由な発想を生かしたSTEAM教育のA(芸術)の要素を含めた教育を行うことができる。望月先生自らが選定した教材だ。
今回の授業では、使い方や機能を説明せず、二人一組でピラーを分析してもらう。そして、子どもが自らダイヤルの意味を発見してその機能を活用した遊び方を考え、最後にプレゼンテーションを行ってもらう。
児童が授業場所である体育館に到着し、今日の主役であるピラーが登場すると歓声が上がった。先生が今日の授業の主旨を説明し、分析したことを書き込むためのプリントを配る。そして分析の時間が始まると、子どもたちは発見したことをいくつかの丸い枠内に書き込んでいった。
5分後、頃合いを見て先生が児童を集め、分析結果を発表してもらった。すると、児童からは「動いている間に持ち上げると動きが止まる」「動いている途中にダイヤルを回すと回る」「音符マークのボタンを押すとノリノリで歌う」といったピラーについて気付いたことが次々に出てきた。先生はそれらをまとめ、「ピラーの一番の特徴はダイヤルを回すことでピラーに命令することができること」とした。そのうえで、こうしたコンピューターに命令を出す行為をプログラミングと呼ぶと説明した。