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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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小学校でのプログラミング教育実践(授業事例)

「産官学」で取り組むプログラミング教育の効果とは? 1人1台のロボットトイ「toio」を東京理科大がサポートする流山市

 小学校におけるプログラミング教育は、GIGAスクール構想の「1人1台」環境に背中を押される形で大きく進み始めている。しかし、その取り組み方は自治体や学校ごとに異なっており、まだまだ試行錯誤段階である現場も多い。千葉県流山市では、今年6月に「産官学による先進的統合型プログラミング教育」を発表。7月より市内のモデル校4校で、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのロボットトイ「toio(トイオ)」を活用し、公立小中学校9カ年のカリキュラムをスタートした。今回は、11月15日に流山市立東小学校で行われた公開授業の様子とともに、「産官学」によるプログラミング教育の意義や、実現した背景について紹介していく。

小中9カ年の一貫したプログラミング教育を目指す

 千葉県流山市は、2021年度から市内の小中学校にWindowsノートPCの「1人1台」環境を整え、「Microsoft 365」や「ミライシード」などによるICT活用をスタートした。「先進的統合型プログラミング教育」が始まったのは、流山市ICT教育推進顧問を務める東京理科大学 理工学部 副学部長 情報科学科の教授である滝本宗宏氏からの提案がきっかけだった。

 滝本氏はtoioを教材に選んだ理由として、「内蔵した光学センサーによって正確な位置情報を取得し、プログラミングした通りに現実のロボットが動く点や、アンプラグドからビジュアルプログラミング、さらには本格的なJavaScriptまでの多様な言語をサポートしている点」を挙げている。

体感できるプログラミングについて話す東京理科大学の滝本宗宏氏
体感できるプログラミングについて話す東京理科大学の滝本宗宏氏

 東京理科大学の理工学部は、キャンパスが野田市にあり、最寄り駅が流山市にあることから、これまでも2つの市と連携し、学校教育をはじめとした地域の課題解決などに取り組んできた。今回の「先進的統合型プログラミング教育」もそのひとつで、同大学と内田洋行が小中学校向けのカリキュラムを共同開発しているほか、滝本氏の研究室からは実際の授業をサポートする学生の派遣なども行っている。

 内田洋行は中学校の総合的な活動の時間や技術、理科などで活用できるtoioの教材開発を行うほか、toioの開発・発売元であるソニー・インタラクティブエンタテインメントが機材と技術サポートを提供する。まさに、学と産のプロフェッショナルが結集して取り組みを実現させている。

6月に行われた流山市の「産官学による先進的統合型プログラミング教育」発表会の様子
6月に行われた流山市の「産官学による先進的統合型プログラミング教育」発表会の様子

子どもたちの「最後まで取り組む」姿を感じられたアンプラグド授業

 11月の公開授業には、テレビ局や新聞社、教育系メディアなど多くの取材陣が参加し、子どもたちの授業の様子を見守った。

 最初に行われたのは、3年生の「総合的な学習の時間」の単元「昔のくらしと道具」だ。この日は公開授業の取材のため、通常は教室で行っている授業を、体育館に机を並べる形で実施した。3年生は、当日の授業の前にシニアの方々との交流などを通して、昔のくらしや道具について調べており、授業の最初の振り返りでは、プロジェクターに写真を映して昔の道具と現代の道具を比較した。

 その上で、現代の道具の多くにはプログラムが使われていることを意識させ「プログラムをつくること=プログラミング」の実践を始めた。ここでは、タブレットなどの端末を使わないアンプラグドのプログラミング授業として、toioの専用タイトル「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~(以下、Goロボ)」を使用した。「Goロボ」は、紙でできた「めいれいカード」をつなげてプログラムをつくり、物語形式でさまざまなミッションが描かれた絵本の問題を解いていく。

「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」 「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」
「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボのひみつ~」

 流山市のプログラミング教育の特徴のひとつが「子どもたち1人につき1台のロボットが用意されている」という点だ。グループで行うことにもメリットがあるが、自分専用のロボットを使うことで、それぞれの興味関心と進度で取り組めるという点は大きい。すでに3回ほどtoioを使った授業を行っていることもあり、toioの操作に困っている子はいなかった。授業には滝本研究室の学生2人がサポーターとして参加し、子どもを個別にサポートした。

理科大の学生が子どもたちをサポート
理科大の学生が子どもたちをサポート

 子どもたちは慣れた手つきで「めいれいカード」を箱から取り出し、机の上に並べていく。紙のカードを横に並べる一見アナログな手法だが、実はこのカードの表面にはそれぞれtoioが読み取ることができる特殊パターンが印刷されており、カードの上にtoioのキューブを置くだけで、つくったプログラムをキューブが自動で読み取ってくれる。

 次に、キューブを絵本のページ上のスタート地点に置く。すると、カードを並べたプログラム通りにキューブが進んでいく。Goロボでは、正確に進む無感情のロボットではなく、子どもたちに親しみやすいロボットの動きがプログラムされており、見事ゴールにたどり着くと、くるくると回るなどのかわいらしい様子を見せてくれる。このしぐさは子どもたちにとても好評だ。授業の感想を聞いた際、「本当にしゃべっているみたいでかわいい」「ゴールにたどり着くとtoioが喜ぶから自分もうれしくなる」と複数の子どもが、toioの動きについて話してくれた。

トコトコと動くtoio。専用のキャラクター人形を装着しているため親しみがわきやすい
トコトコと動くtoio。専用のキャラクター人形を装着しているため親しみがわきやすい

 実際の授業を見て気づいたことは、最初はうまくゴールできなくても、途中であきらめる子がいなかったことだ。今回は、新しい命令として「繰り返し」や「アクション」を使ったプログラムに挑戦したことで一度ではうまくいかず、二度三度と挑戦している子もちらほらいた。うまくいかなくても、すぐにカードを入れ替え、根気強く何度も繰り返していた姿が印象的だった。

 これには、先に挙げた「toioの動きがかわいい」ということも理由としてありそうだ。また、一からやり直す必要がなく、カードを組み替えたりするだけで簡単にできる点も大きい。また、手を使って紙のカードを組み合わせるため、低学年でも積み木に近い感覚で扱えるようだ。

 toioの場合、本体は充電式ではないため、電源が必須となる。しかし、教室で多数の電源タップを用意したり、ケーブルを伸ばしたりすることは安全面でも難しい。そこで、流山市では「1人1台」のtoio環境を実現するため、モバイルバッテリーをtoio本体につけて使用している。

モバイルバッテリーをtoio本体に接続することで、電源やケーブルの問題を解消
モバイルバッテリーをtoio本体に接続することで、電源やケーブルの問題を解消

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実際のロボットが動くことでモチベーションが上がる算数の授業

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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