2つの事業では、クラウドや地域人材を活用してプログラミング教育を根付かせ、情報教育に地域格差を起さないことを狙いとしている。実証実験、実施モデルは、全国11ブロック24校で行われた。
なお、成果発表会は、当日予定されていた施設の電気トラブルにより急きょ会場を変更しプログラムを短縮する形で行われた。そのため、公式には中止扱いとなっている。
本記事では、11ブロックの発表を2回に分けて概要をお伝えする。第1回は北海道ブロックから信越ブロックまでの5ブロックの発表概要となる。
1:発達段階(障害も含む)に合わせた異年齢協働プログラミング教育
株式会社LITALICO(北海道ブロック)。
小学1年生から6年生までを対象に、ScratchとレゴWeDo2.0を使ったグループによるプログラミング教育を実施した。グループは、学年にかかわらず編成され、協働学習、教え合いを意識したものとなっていた。グループには障害者も含まれるため、講義は写真付きマニュアルを使うなどの工夫も行われた。
メンターは北海道大学の学生(プログラミング経験あり)と実施校の教員、実習生(プログラミング経験なし)が担当し、教えるプロとプログラミングが分かる学生が補完しあう。
実施後のアンケートでは参加児童の学習意欲は概ね高く、プログラミングやコンピュータへの興味を惹くことができたと言う。メンターも活動の継続や横展開に前向きで、地域への広がりを期待できる結果となった。課題としては、WeDo2.0が高価であること。学生の活動に単位認定などハードルを下げる取り組みが必要と指摘された。
2:プログラミング教育の地域間格差解消を目指す、遠隔地間協同育成支援モデル
国立大学法人奈良女子附属中等教育学校(東北ブロック)。
レゴEV3、Pythonを使ったプログラミング教育を実施。特徴はメンター育成プログラムに特化した取り組みであること。教科、専門、プログラミング経験にかかわらず、教師メンター、高校生・大学生メンターの育成プログラムを工夫していた。育成プログラムは、レゴやPythonの活用知識の他、受講生の相談や問題に寄りそうスキル、気づきを与えるスキルなど、トレーナー、コーチングとしてのメンタリング面を重視した。
山間部や離島などでのメンター育成も視野に入れており、MOOCsやオンライン学習、動画配信などを使ったメンター向けの講義も開発された。このようなプログラムのおかげで、メンターは単に知識を教えるスキルだけでなく、コーチングスキルを高めることができたと言う。
課題は、遠隔地での動画視聴に関する技術的な問題が挙げられた。地形や地域による通信条件の他、動画視聴のためのプラットフォーム利用の手続き、設定がハードルになっている点だ。この場合、結局YouTubeが手軽で高画質という結果になることもあった。