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教育現場でのICT活用事例紹介(中学校)

生徒が主役の授業に! iPadや英語学習アプリを活用する宝仙学園中学校


 今や教育現場にICTは欠かせないものとなっており、iPadなどのタブレット端末も普及しつつある。東京都中野区にある宝仙学園中学校では、昨年から生徒1人に1台のiPadを導入し、多くの授業で活用している。その推進役の1人が、同校 総務部長 英語科主任の對馬洋介先生だ。先生の英語の授業ではiPadと共に、リクルートマーケティングパートナーズが提供するオンラインの英語学習サービス「スタディサプリENGLISH」をツールのひとつとして活用、生徒が自主的に勉強するような授業を組み立てている。どのような授業を行っているのか。その様子を紹介すると共に、ICT活用の効果などについて話を伺った。

大学入試改革を見据え、iPadを生徒1人に1台導入

 宝仙学園の歴史は古く、1927年に感応幼稚園(現・宝仙学園幼稚園)が創設されたことから始まる。その翌年の1928年に中野高等女学校(現・宝仙学園中学・高等学校)が設立された。女子校だった宝仙学園に共学部(理数インター)ができたのは2007年。2014年より共学部は中高一貫校として教育が行われている。

 宝仙学園中学校では、昨年から生徒1人に1台のiPadを導入し、授業が行われている。

宝仙学園中学校 総務部長 英語科主任 對馬洋介(つしま・ようすけ)先生
宝仙学園中学校 総務部長 英語科主任 對馬洋介(つしま・ようすけ)先生

 「1、2年生にはiPadを3年間のレンタルという形で学校から支給しています。今の3年生はまだその仕組みがなかったので、学校の備品として1人1台のiPadを用意し、授業で必要に応じて使用する方法を採用しています」

 對馬先生が宝仙学園に赴任したのは、今から3年前の2016年。当時から、教員へのiPadの導入は決まっていたという。だが、学校には使い方に詳しい人が決して多くなく、用途、目的が定まっていなかった。せっかく教員にiPadを導入するのであれば、これを機に「自分が授業を受け持つクラスの生徒全員にも導入することを提案した」と對馬先生は明かす。その背景には大学入試改革がある。英語では4技能(読む・聞く・話す・書く)を総合的に評価することが謳われていた。

 「大学入学者選抜試験は約50万人もの人が受験します。スピーキング技能を評価する試験を実施するのであれば、タブレットやコンピューターを使う試験しかあり得ません。そこで生徒にいち早く、機械に話しかける練習をさせることが得策だろうと考えました」

 では、実際にどのような形でiPadが活用されているのだろうか。今回は中学2年生の授業を見学させてもらった。

生徒が主役のスタイル、グループワーク中心の授業も

 授業が始まると、紙の小テストが配られる。見学したクラスは特進クラスだったので、小テストといっても高校生レベルの問題が出題されているという。配られるとみんな黙々と取りかかる。テスト時間は10分弱。終了後は生徒自身が採点するのだが、ここに對馬先生の授業のポイントが盛り込まれている。

 テストが終わると生徒は4~6人の班を作る。そして、グループのメンバー同士で答え合わせをする。對馬先生はその間、各グループを回り、間違いが多そうなところをチェックした上で、iPadと教室のモニターを用いながら解説する授業スタイルだ。

生徒の解答を見て、つまづきやすい誤答をiPadで撮影
生徒の解答を見て、つまづきやすい誤答をiPadで撮影
教室前方のモニターに投影しながら、間違っている理由を解説する
教室前方のモニターに投影しながら、間違っている理由を解説する

 「授業の主役は生徒であるはずです。生徒にスポットライトを当てる授業をするにはどうすればいいか。教員はあまり話さない方がいいと考えるようになりました。私の授業は子どもたちに考えさせる授業。生徒同士で教え合って『あっ、そっか』という声を聞くときが一番好きですね

 その後はいよいよ生徒のiPadが登場。スタディサプリENGLISHの「日常英会話コース」を使い、それぞれ自主学習的に取り組む。

生徒はそれぞれスタディサプリENGLISHを起動して学習。発音問題はマイクに対してささやく。
生徒はそれぞれスタディサプリENGLISHを起動して学習。発音問題はマイクに対してささやく。

 スタディサプリENGLISHを授業中に使用するのは月1回ほど。「授業ではあくまで補助的に使用し、主に自宅で宿題として取り組んでもらうことが多いです」と對馬先生は話す。なお、大学受験により近い中学3年生のクラスではスタディサプリENGLISHの「英語4技能コース」を受講しているとのことだ。

 このようにスタディサプリENGLISHは違和感なく生徒の学習に組み込まれているように見える。それでも「工夫なしで浸透させるのは難しい」のだという。

 「スタディサプリENGLISHは主に自宅での学習に用いられているため、『今週はここまでやりましょう』と、週に1回アナウンスしています。そうしなければ、英語が好きな生徒以外はなかなかやる気になりません。また、進捗ランキングを廊下に掲示しています。ランキングで上位に入ると、やはりモチベーションアップになりますね」

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ICTが「生徒が主役の授業」の実現を手助け

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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