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教育現場でのICT活用事例紹介(大学・専門学校)

大学入試にもICTを! 出願から入学手続きまでスマホで完結するプラットフォーム「UCARO」の活用事例

 「UCARO®」は、ODKソリューションズが提供する、大学の出願から入学手続きまで、スマホですべて行うことができるサービス。受験生は無料で利用することができ、全国56校の大学が導入している。受験生からすると、煩雑な入試・入学の手続きが簡単になることで多くのメリットを受けられるが、大学側から見たメリットは何だろうか。4月17日にODKソリューションズの主催で開かれた「入試カンファレンス2019 in 東京」で、既にUCAROを導入し、一定の効果を実感しているという芝浦工業大学と青山学院大学の2校による事例が紹介され、その使用感が明らかになった。

UCAROの活用により、ミスのない正確な入試を実現――芝浦工業大学

 まず、芝浦工業大学の入試部 次長 秋山知彦氏が、「UCARO」を導入した経緯、それによる課題解決のエピソードを語った。

芝浦工業大学 入試部 次長 秋山知彦氏
芝浦工業大学 入試部 次長 秋山知彦氏

 芝浦工業大学には4学部16学科があり、近年はAI、IoTの人気によって、情報系学科の志願者が急増し、一般入試全体の志願者は4万6000人を超えているという。

 入学に関する業務にあたっているのは、秋山氏が所属する入試部の11名。「ミスのない正確な入試の実施」を目標としているが、11名では手が足りないという課題を抱えていた。さまざまなことを手作業で行っていたため、深夜業務が多くなり、そこからミスにつながることもあったという。

 そういった課題をUCAROが解決した。出願受付から受験票の発送、合格通知や振込用紙の発送をUCARO上で行うことによってさまざまな課題が解消できた。

 UCAROによる人的コストの削減は、「ピーク時である1~2月の入試部全体で12%の残業削減につながった」そうだ。

受験票ダウンロードの仕組み

 秋山氏は、UCARO機能の中でも「PDFダウンロードシリーズ」について活用の所感を紹介した。まず、取り上げたのは受験票ダウンロードの仕組みについて。

 受験票をUCAROで配布できる仕組みを活用したところ、出願書類到着の2日後には、受験票がダウンロードできるようになった。従来の、紙の受験票を郵送する方法では、受験生のもとに到着するまでに出願書類到着から約1週間ほどかかってしまい、受験日の3日前になっても届かないケースもあった。その結果、不安に思った受験生から問い合わせがくることも少なくなかったという。その課題を克服したことは大きい。

 また、同大学の場合、受験者数が多い試験会場で定員を超過してしまい、受験生が希望した会場ではなく、他の会場に変更される場合もある。この試験会場の通知についても、以前は受験票と同時に郵送で行っていたので、受験生にとってはぎりぎりまで分からず不安な状態だった。UCAROで通知することで、遅くとも約1週間前には分かるようになった。

 また、受験票を受験生に印刷してきてもらう形にしたが、仮に受験生が受験票を忘れてしまった場合でもスマホに必要な情報がすべてあるので、その場での再発行の手続きが以前と比べてスムーズになった。UCAROの活用によって1人あたりの再発行時間が数分から数十秒で済むようになり、受験生の精神的な不安もやわらげられたようだ。

合格発表の仕組み

 合格発表においては、合格通知、振込用紙、入学手続きに関する手引きをUCAROからダウンロードできる仕組みにした。以前は合格通知の袋詰め作業を30人ほどで数時間かけて行っていたが、今は一連の業務を2名、約30分で対応できているという。

 UCAROの合格発表の仕組みは、3月末ぎりぎりで繰り上げ合格発表をせざるをえない場合でも有効だ。発表の翌日には、合格者が必要書類をダウンロードできる状態になっており、合格者はスムーズにその後の手続きを行えるようになったようだ。

 UCAROを活用した入試の実施を一通り終えてみて、「ODKソリューションズの担当者がついており、相談に対するレスも早かったため、安心して作業を進められた」と話す秋山氏。複数の大学で使うシステムのため、同大学のオリジナルの仕組みを変更して、UCAROに合わせていく必要もあったが、学内部署の理解も得られトラブルなく実施できたようだ。

 2019年度入試では、手作業からUCAROの「PDFダウンロードシリーズ」を活用する方法に変更したことにより、正確かつスピーディに、受験生に対して受験票などを発送することができた。一方で、「書類をダウンロードして印刷するなど、受験生がやらなければいけない作業が増えていることは認識している。この受験生の負担を減らすためにもっと根本から改善できないか検討していきたい」と今後の課題も話した。

 最後に、UCARO導入にあたっての課題として「コスト」を挙げた秋山氏。今年度は、特別入試や推薦入試でもUCAROを利用するために新規開発があったこともあり、例年以上の費用がかかったそうだが、「単独で開発するのではなく、共通して必要な機能があれば、複数の大学で一緒に開発すると費用を抑えられるのかなと思う」と進言した。

次のページ
出願から入学式の案内まで、1つのプラットフォームで完結――青山学院大学

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この記事の著者

岡田 果子(編集部)(オカダカコ)

2017年7月よりEdTechZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。最近は英語学習のアプリやオンライン講座に興味がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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