micro:bitを使ったアイディアを募集
子どものプログラミングでは定番となりつつある小型コンピューター「micro:bit」。LEDやさまざまなセンサーが搭載されているだけでなく、リーズナブルな価格設定も魅力だ。「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」の名前の通り、応募する作品はmicro:bitを活用したものであることが条件となる。
今回のコンテストは日本や世界、住んでいる町、学校、家庭などの課題や困りごとを解決するアイディアを形にする「課題解決部門」と、ゲームやアートなど制限なく自分が欲しいもの・作りたいものを自由に作る「自由部門」に分かれて募集された。それぞれの部門から4作品が最終審査に進み、当日は子どもたち自身が審査員の前でプレゼンテーションを行った。
なお審査員は、NECパーソナルコンピュータ株式会社 代表取締役執行役員社長 レノボ・ジャパン株式会社 代表取締役社長のデビット・ベネット氏、日本マイクロソフト株式会社 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏、東京大学大学院 情報学環教授 越塚登氏、株式会社スイッチエデュケーション 代表取締役社長 小室真紀氏の4名が務めた。
それぞれの「好き!」が詰まった「自由部門」の作品
工作のビジュアルにもこだわった「時限爆弾」
自由部門のトップバッターでプレゼンテーションしたのは福岡市立照葉小学校の安東鷹亮(あんどう・ようすけ)さんだ。トイレットペーパーの芯とmicro:bitを組み合わせ、爆弾に見立てたこの作品。映画のワンシーンのように、接続されたケーブルのどれか1本を外すと、爆発までのカウントダウンを止めることができる。
「時限爆弾」という禍々しい作品名ながら、もちろん実際には爆発することはない。タイムオーバー時には脱力感のある音が鳴り、審査員の笑いを誘っていた。
工夫した点のひとつは、トイレットペーパーの芯を使った爆弾のビジュアル。「アニメでよく見かける色合いにしました」と、こだわりポイントがアピールされた。
LEDの光が美しい「まほうのペンダント」
続いて発表したのは滋賀県守山市立速野小学校 越智千晶(おち・ちあき)さん。映画「アナと雪の女王」のキャラクター「エルサ」が大好きで、「いつかは魔法使いになってみたい」という越智さんは、ペンダントで「光の魔法」を表現しようとした。
しかし、「micro:bitの赤いLEDだけでは、魔法の表現がうまくできませんでした」と、制作過程を振り返る越智さん。micro:bit用の円型フルカラーLED「ZIP Halo」を見つけ、「これならできる!」と考えた。
作品「まほうのペンダント」には、6種類の魔法が入っている。micro:bitのボタンを押して出したい魔法を選択し、ペンダントを振ると、光の魔法が輝く。その見た目の美しさに、審査員からも感嘆の声が漏れた。
中でも特に越智さんが気に入っているのが「氷」の魔法だ。冷たい氷のイメージを表現するため、LEDの色合いや光らせ方にもこだわったという。
家族を想う気持ちが込められた「みんなをハッピーにするロボット『ぶるぶる君』」
次の発表者は山形県天童市立寺津小学校 瀬野加蓮(せの・かれん)さん。転校先の寺津小学校がプログラミングの授業を先駆けて実施しており、興味を持ったという。
夏休みの工作でロボットを作った瀬野さんは、「動かすだけではなくて、メッセージや音を出せるようにしたい」と考え、micro:bitと組み合わせることにした。それがこの作品「みんなをハッピーにするロボット『ぶるぶる君』」。きっかけは単身赴任のお父さんと離れて暮らすようになったこと。
「お父さんは夏休みに作ったロボットを『すごいね』とほめてくれました。今度は1人で過ごしているお父さんを私が応援したくて、メッセージを伝えられるロボットを作ることにしました」(瀬野さん)
ちなみに「ぶるぶる君」は、みんなをハッピーにするメッセージを表示するだけでなく、洗濯ばさみを用いたスイッチで自爆する仕組みも入っている。そんな遊び心も込められた作品だ。
本格的なシューティングゲームをmicro:bitで実現「敵を倒せ!ミサイルゲーム」
自由部門最後の作品は、さいたま市立常盤中学校 辻健人(つじ・けんと)さんの「敵を倒せ!ミサイルゲーム」だ。
PCゲーム、中でもシューティングゲームが大好きだという辻さん。しかし、家族と共用のPCは使える時間が制限されている上に、自分の部屋に持ち込めない悩みがあった。「そこで、いつでもどこでも遊べるゲーム機を自作することにしました」と話す。作品にも、電源スイッチの搭載やボリュームの調整など、どこでも遊べる携帯ゲーム機としてのこだわりが伺える。
工夫されているのはハードウェア面だけではない。ブロックプログラミングを駆使して作成されたゲームのソフトウェア部分は50ものステージを選択可能だ。また、配列を駆使してミサイルの連射も実現した。