2020年から小学校の英語学習が変わる
2020年の新学習指導要領全面実施は、プログラミングに注目が集まりがちだが、外国語(英語)にも大きな変化がある。現在すでに小学校5~6年生では「外国語活動」が年間35単位時間実施されているが、この「外国語活動」が3~4年生で行われるようになり、5~6年生は時数が70単位に倍増して教科化される。「外国語科」として成績評価の対象になるのだ。また、2020年度から実施される新しい「大学入試共通テスト」からは、英語で「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能を評価するための仕組みが検討されており、中学、高校段階でも英語の学び方は今後ますます変化を求められることになる。
従来の一斉授業のスタイルだけでは、4技能をバランスよく身につけ、コミュニケーションを重視した英語力をつけるのが困難なのは誰でも容易に想像がつくだろう。ICT機器を適切な教材と共に活用する効果には必然的に期待が集まる。そんな中、「マグナとふしぎの少女」を展開するファンファンラーニングは、アクティブラーニングとエンターテイメントを掛け合わせたメソッド「ファンラーニング」を提唱し、小学生の英語学習に、「劇」と「アプリ」という手段を提案している。
アプリに話しかけて参加する劇、「マグナとふしぎの少女」はどんなミュージカル?
ミュージカル「マグナとふしぎの少女」は、日本語を話す少年カイたちの世界に、知らない言葉(英語)を話す少女レイが現れるところから始まる。少女レイはマグナと呼ばれる壁に隔てられた向こう側の世界から来たことがわかり、少年カイたちはマグナをめぐる謎に迫るという冒険ストーリーだ。観客は、日本語しかわからず戸惑うカイの視点でレイの英語を体感することができるし、カイとレイのやりとりに他のキャラクターが加わり、笑いが起こる中で言葉の壁や習慣の違いなどを自然と知ることができる。
特徴的なのは、観客に発話させて劇への参加を促す工夫だ。劇中の登場人物が観客に働きかけ会場中で一緒に同じフレーズを声に出すような場面はもちろんのこと、今回の一般公演では、さらに学校公演版にはなかった仕掛けとして、鑑賞中に観客がスマートフォン/タブレット端末のアプリを操作する場面があった。
観客は事前に案内された専用アプリをスマートフォンやタブレット端末にインストール済みで、これを劇中の戦いのシーンで使う。さながらヒーローショーの「がんばれー!!」の声かけのようにして、アプリに向けてキャラクターに簡単な英語の指令を発声するのだ。
ヒーローショーのようなスタイルの場合、子どもの性格や年齢によっては、ステージ上のヒーローに応援の声をかけるのは敷居が高いこともある。ところがこの場合、スマートフォンに話しかけるだけなので普段の行為と変わらず、皆自然に声が出ている様子だ。親子で観劇に来ている上、日頃親のスマートフォンを触り慣れている子どもたちにはごく自然なツールとして活用されていた。