語学の習得にも“打ちっぱなし”のようなトレーニングが必要――GVT代表天野雅晴氏
グローバルビジョンテクノロジー(Global Vision Technology、GVT)代表の天野氏は、現代においてより英語が必要になってきた背景として以下の点を指摘した。
「10年前とはだいぶ異なる現状がある。特に、インターネットによる急速なグローバル化が大きい。そして、今までなかったビジネスモデルづくり、先行事例のない問題解決の必要性が増してきた。そのための、0から1を生み出すような共同作業において、海外人材も含めたディスカッションが必要になってくる」
では、そのための英語をどのように身に付けたらいいか。天野氏は、スポーツや楽器の習得を例に出し、知識や情報の取得と実践の間に「スキル獲得のための集中トレーニングが必要だ」と話す。ゴルフで言えば、打ちっぱなしのようなトレーニングだ。知識重視になりがちな(日本人の)英語学習においては、あまり行われていないという。
そのトレーニングも、ただ闇雲にやればいいというわけではない。今回発表された共同研究によって適切なメソッドを確立し、ビジネス英語学習サービス「Gabby」で提供する予定だ。これを提供するのは、カナダバンクーバーにあるGabby Communications International Inc. (GVTの現地法人)。
そんな同社と協力し共同研究を開始した、東大大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授。酒井氏はそのメソッド開発の前提として、英語をはじめとする言語運用能力と習得のメカニズムについて脳科学の視点から発表した。
なぜ日本人は英語が苦手なのか――東京大学大学院酒井邦嘉教授
酒井氏がまず示したのは、地域別の英語能力を分析した調査レポート「EF EPI英語能力指数2019年版」。今年の日本の順位は100か国中53位で、調査の参加国が増えるにつれて、日本の英語力の低さが明らかになっている。
なぜ日本人は英語が苦手なのか。1つの要因として酒井氏は日本人のコミュニケーションが「単語中心であること」を指摘した。日本では単語中心の発想、コミュニケーションが好まれ、会話においても動詞より名詞を探そうとする傾向がある。
一方、欧米では文化や歴史が共有されていないコミュニティでの会話になるため、動詞を中心に文章を作る。その性質の違いが、英語習得に困難を感じさせるという。