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「英語4技能」より鍛えるべき能力とは? 母国語のように自然に文章生成を会得するためのメソッド、研究開始

言語脳科学者 酒井邦嘉教授とビジネス英語学習サービス「Gabby」の共同研究開始

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2019/12/18 07:00

 日本人の英語力の低さが指摘されて久しい。昨今では、本当に使える英語を身に付けるためには「話す」「聞く」を含めた4技能を鍛えることが望ましいとされ、オンライン英会話や英会話アプリなど、さまざまな英語学習サービスが登場している。そんな中、英語学習の鍵は技能の他にあると指摘するのは、東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授だ。酒井氏と、スピーキングを中心とした英語学習サービス「Gabby(ギャビー)」を開発するグローバルビジョンテクノロジーは、共同研究を開始したと発表。言語脳科学者の酒井氏が解明してきた、文の生成の過程と脳の「文法中枢」の働きとの関係に着目し、母国語に近い自然な英語習得のメソッドを開発・検証していくという。酒井氏が日本の英語学習の現状を振り返り、言語学習と脳の関係を明らかにした発表をメインに、プレス説明会のレポートをお届けする。

語学の習得にも“打ちっぱなし”のようなトレーニングが必要――GVT代表天野雅晴氏

 グローバルビジョンテクノロジー(Global Vision Technology、GVT)代表の天野氏は、現代においてより英語が必要になってきた背景として以下の点を指摘した。

株式会社グローバルビジョンテクノロジー 代表取締役 天野雅晴氏
株式会社グローバルビジョンテクノロジー 代表取締役 天野雅晴氏

 「10年前とはだいぶ異なる現状がある。特に、インターネットによる急速なグローバル化が大きい。そして、今までなかったビジネスモデルづくり、先行事例のない問題解決の必要性が増してきた。そのための、0から1を生み出すような共同作業において、海外人材も含めたディスカッションが必要になってくる」

 では、そのための英語をどのように身に付けたらいいか。天野氏は、スポーツや楽器の習得を例に出し、知識や情報の取得と実践の間に「スキル獲得のための集中トレーニングが必要だ」と話す。ゴルフで言えば、打ちっぱなしのようなトレーニングだ。知識重視になりがちな(日本人の)英語学習においては、あまり行われていないという。

 そのトレーニングも、ただ闇雲にやればいいというわけではない。今回発表された共同研究によって適切なメソッドを確立し、ビジネス英語学習サービス「Gabby」で提供する予定だ。これを提供するのは、カナダバンクーバーにあるGabby Communications International Inc. (GVTの現地法人)。

 そんな同社と協力し共同研究を開始した、東大大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授。酒井氏はそのメソッド開発の前提として、英語をはじめとする言語運用能力と習得のメカニズムについて脳科学の視点から発表した。

なぜ日本人は英語が苦手なのか――東京大学大学院酒井邦嘉教授

東大大学院 総合文化研究科 酒井邦嘉教授
東大大学院 総合文化研究科 酒井邦嘉教授

 酒井氏がまず示したのは、地域別の英語能力を分析した調査レポート「EF EPI英語能力指数2019年版」。今年の日本の順位は100か国中53位で、調査の参加国が増えるにつれて、日本の英語力の低さが明らかになっている。

 なぜ日本人は英語が苦手なのか。1つの要因として酒井氏は日本人のコミュニケーションが「単語中心であること」を指摘した。日本では単語中心の発想、コミュニケーションが好まれ、会話においても動詞より名詞を探そうとする傾向がある。

 一方、欧米では文化や歴史が共有されていないコミュニティでの会話になるため、動詞を中心に文章を作る。その性質の違いが、英語習得に困難を感じさせるという。


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著者プロフィール

  • 岡田 果子(編集部)(オカダカコ)

    2017年7月よりEdTechZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。最近は英語学習のアプリやオンライン講座に興味がある。

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