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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(プログラミング教育)

小中高生のロボットのオリンピック、タイで開催! 自律型ロボットが対戦する「WRO Football」とは


 世界60の国と地域が参加する「WRO(World Robot Olympiad)」は自律型ロボットによる国際的なロボット競技会である。そこでは世界中の子どもたちがロボットを製作し、プログラムにより自動制御する技術を競う。プログラミング教育が注目される以前より、世界共通ルールで実施されていたWRO。本稿ではタイ・チェンマイで行われた国際大会のレポートと、昨年より日本大会でも実施されている競技、「WRO Football(以下、フットボール)」について紹介する。

世界中で2万5000以上のチームが参加するWRO

 WROの国際大会、「WRO 2018 タイ国際大会」がタイ・チェンマイで2018年11月16日から18日にかけて開催された。小中高生対象のロボット競技会のうち、国際大会まであるものは「WRO」「FLL」「RCJ」の3つ。中でもWROは、予選大会を含めると世界60の国と地域で2万5000以上のチームが参加する、世界最大級のロボット競技会だ。

盛り上がるWRO 2018 タイ国際大会の開会式。各チームの情熱があふれる。
盛り上がるWRO 2018 タイ国際大会の開会式。各チームの情熱があふれる。
大会会場では、競技以外にもレゴ ブロックの組み立てブースやワークショップが開かれる。
大会会場では、競技以外にもレゴ ブロックの組み立てブースやワークショップが開かれる。

 WROは「教育版 レゴ マインドストーム」を用いてロボットを製作し、プログラムにより自動制御する技術を競うコンテストだ。日本でも全国41地域から1800を超えるチームが国内大会に参加している。ミッションをクリアし得点を競い合う「レギュラーカテゴリー」、テーマに沿ったロボットを製作し発表する「オープンカテゴリー」、そしてロボット同士で対戦する「フットボール」などの競技部門がある。

会場の様子。ミッションをクリアし得点を競うレギュラーカテゴリー。
会場の様子。ミッションをクリアし得点を競うレギュラーカテゴリー。
テーマに沿ったロボットを作成し、発表するオープンカテゴリー。2018年のテーマは「Food Matters(食糧問題)」だ。
テーマに沿ったロボットを作成し、発表するオープンカテゴリー。2018年のテーマは「Food Matters(食糧問題)」だ。
自律型ロボット同士が対戦するフットボール。
自律型ロボット同士が対戦するフットボール。

ロボットの組み立てから戦いは始まっている! WROの「フットボール」

 これらの競技の中から今回は「フットボール」を紹介したい。赤外線を出す直径75mmのボールを相手ゴールに入れるため、各チーム2台のロボットがフィールド内を駆け巡る。フィールドのサイズは1.8m×2.4m程度で、ルールは若干異なるものの、「ロボカップジュニア(RCJ)」の「サッカー ライトウェイト」や「サッカー ビギナーズ」に近い。

 WROの大会がほかと大きく異なるのは、ロボットの組み立てを会場内で行うところである。すべてのレゴのブロックパーツをバラバラにした状態から、2時間程度で一から組み立てなければならない。これは「大人が関与せず、きちんと子どもの力だけでロボットを作れているか」ということを証明するための教育的な措置であるが、早いチームは30分もしないうちに組み立てを完了させる。組み立て終わったチームから練習を開始できるので、みんな必死になっているのだ。

どのチームもロボットに対するまなざしは真剣そのもの。熱い戦いを予感させる。
どのチームもロボットに対するまなざしは真剣そのもの。熱い戦いを予感させる。

 また、もう1つの違いは、部品がすべてレゴ社の製品でなければいけない点である。一見すると、好きなモーターやパーツ、高精度なセンサーを使用することができないため窮屈な印象を受けるかもしれない。しかし、むしろこの制限があるからこそ、部品の性能差で勝負せず子どもたちの工夫でロボットの良しあしが決まる、公平なルールが実現する。どの参加国でも入手できるモーターやセンサー、部品が共通なので、初心者が製作するロボットでも、国際大会で優勝したロボットでも使用するパーツには差がない。違うのは、「ロボットをどのように組み立て、どうプログラムしたのか」という子どもたちの純粋な創意工夫だけである。こう考えると、この制限こそがWROの最も教育的な核心部分と言えるだろう。

 ロボット本体に取り付けられるモーターやセンサーは最大でも4つずつ。ボールを追いかけるためのセンサーや方位センサー、タッチセンサー、カラーセンサー、超音波センサーなどから4つまでを選ばなければならない。パーツは共通であるが、その組み合わせは実質無限であり、製作されたロボットはキッカー(ボールを蹴る機構)がついたり、オムニホイール(任意の方向に動くためのホイール)を作ったりと非常に個性豊かなロボットができ上がる。どのセンサーを使うのか、どの場所に設置するのかなど、子どもたちの試行錯誤の結果がロボットに表れるのだ。

勝利をつかみ取るため、ロボット同士が激しくぶつかり合う場面も。
勝利をつかみ取るため、ロボット同士が激しくぶつかり合う場面も。

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日本では2018年から本格開催。まだまだ黎明期でチャンスあり!?

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この記事の著者

八尋 博士(帝塚山中学校・高等学校)(ヤヒロ ヒロシ)

 奈良にある帝塚山中学校・高等学校の理科教諭。10年以上前にロボット部を創部し、全国大会に連続出場中。中高生が出場できる3大大会(WRO、FLL、RCJ)すべてにおいて、日本代表として国際大会に出場させている国内唯一の学校(団体)。2018年モントリオールで行われたロボカップジュニアでは世界チャンピ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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