創造的問題解決能力を企業は求めている
「これまでの時代は就職すれば、一から企業が育ててくれました。企業のフローにのることで、まっさらな状態であっても、企業の作法や仕事の方法を覚え、そのカラーに染まっていくことができました。しかし、これからは違います。企業の中のさまざまな問題について、最初から舵取りを一緒にやってくれる人、寄与できる人を、企業が求めるようになりました」
そう話すのは、秋田夏実氏。アドビのマーケティング本部副社長として働く傍ら、3人の子の育児にも奮闘するワーキングマザーだ。
先日の記事でもお伝えしたように、6月に発表されたアドビの「新卒採用で企業が重視するスキルについて」の調査では、企業もイノベーションにより生き残りをかけて"創造的問題解決能力"を重視していること、また新卒採用にもその能力を求めていることが明らかになった。一方で、学生や保護者側からも、学校にそうした力を養う教育への期待が高まっている。
創造的問題解決能力とは、「日本をはじめ世界中の課題を見つけて、これまでになかった解決策を見出していかなければいけない。いわば、『答のないものに対して、解決策を見つける』ことだ」と、秋田氏は話す。「課題を整理し、仮説を組み立てて、解決策を生み出す。そして行動に移す。この一連を実行できる力を創造的問題解決能力といいます」。
日本のZ世代は自分が創造的であることに自信が持てない
しかし、企業からのそうした要望がある一方で、気になるデータが出ていると言う。
それが、同社が昨年6月に発表した「Gen Z in the Classroom: Creating the Future(教室でのZ世代:未来を作る)」の調査結果だ。
「12~18歳の、いわゆる『Z世代』と呼ばれる層にアンケートを行ったところ、『自分が創造的かと思うか』という調査において、日本はわずか8%しか『創造的である』という回答が得られなかったのです。これは諸外国と比べて著しく低いものです。日本人の特色である奥ゆかしさを抜かしても、明らかに低い数値です」
日本のZ世代の数値が低い理由としては、決して創造性がないわけではないと言う。秋田氏は、「自分の創造性に自信が持てない人が多いということに他ならない」と話す。
では、どうやって彼らに自信をもってもらうか。
「それには実体験しかありません。そのためには、日常生活の中で、身近な課題解決を、試行錯誤して彼らなりにやってみるしかないのです。そうした体験を積み重ねてはじめて、自信がもてるようになるでしょう」