ベネッセコーポレーションの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、10月27日から始まる読書週間に向けて、子どもたちの読書行動の実態やスマートフォン利用との関係、語彙力・読解力との関係に関連するデータをまとめて、10月20日に発表した。なお今回のデータは、東京大学社会科学研究所と共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」を中心とした調査結果による。
子どもの読書時間を2015年と2024年で比較すると、1日の中で読書を「しない(0分)」という回答は、2024年には52.7%に達しており、2015年(34.3%)と比較して1.5倍に増加している。

読書時間の推移を学校段階別でみると、いずれの学校段階でも読書時間は減少傾向がみられる。とりわけ小学4年生以上で減り幅が大きく、2015年から2024年にかけての1日あたりの読書時間は、小学4〜6年生が6.3分、中学生が5.9分、高校生が4.9分減少した。

スマートフォンの使用時間(スマホ時間)は、いずれの学校段階でも増加しており、2015年から2024年にかけての1日あたりのスマホ時間は、小学4〜6年生では22.4分、中学生では51.9分、高校生では42.5分増加している。

小学4〜6年生と中学生の、1日あたりのスマホ時間をみると、スマホ時間が長い子どもほど、読書時間が短い傾向がみられた。

2022年に小学4年生だった子どもを、小学6年生まで追跡してスマホ時間が読書時間に与える影響をみたところ、小学4年生時のスマホ時間が長いと小学6年生時の読書時間が短くなることが明らかになった。このような結果は、中学1年生から3年生の追跡、高校1年生から3年生の追跡ではみられず、スマホ時間が読書時間に与える影響は学年が低いほど大きいと考えられる。

読書時間と語彙力の関連をみると、小学3年生、小学6年生、中学3年生では、読書時間が長い子どもほど語彙力の得点が高い傾向がみられた。高校3年生では読書時間「30分」の子どもの得点がもっとも高く、小中学生のうちは一定の時間の読書が語彙力を高める可能性がうかがえる。

中学3年生、高校3年生ともに、読書時間が「5〜15分」と「30分」の読解力の得点が高く、「0分」や「1時間以上」では得点が低いことから、一定の時間の読書は読解力を高める可能性があると考えられる。

保護者自身の学びとの関連をみると、読書を「しない(0分)」という子どもの割合は、「自分の能力を高めるための勉強をすること」が「ある」と答えた保護者の子どもは48.9%だったのに対して、「ない」と答えた保護者の子どもは56.0%だった。

あわせて、読書を「しない(0分)」という子どもの割合は、家庭教育の中で「本や新聞を読むこと」の大切さを「伝えている」と答えた保護者の子どもでは44.0%だったのに対して、「伝えていない」と答えた保護者の子どもでは67.9%に達している。

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