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大学のDX事例紹介

人件費削減が急務となる中、職員採用に「AI面接」を導入した香川大学──業務効率化への効果とは?


AI面接導入で見えてきた「効果的な質問」

──AI面接の導入による具体的な効果について教えてください。

造田:まず、中途採用試験でのプレ導入では、従来の書類選考と一次面接の一部をAI面接に置き換えました。その結果、従来の作業時間を約半分に削減できました。

 さらに、新卒をメインとした職員採用試験では、一次面接のプロセス全体を効率化できました。従来は複数の面接官が2~3部屋で丸1週間かけてグループ面接を行っていましたが、AI面接導入後は、面接官がそれぞれの都合のよい時間に100人以上の受験者の録画と評価を各自で行う形に変わりました。その結果、採用全体の工数時間は約3分の1に削減され、大きな効果が出ました。

──AI面接をより効果的に活用するために、質問内容や運用方法で注意した点はありましたか?

造田:AI面接を導入し、多くの受験者の回答を分析する中で、質問の質が非常に重要だと気づきました。

 効果的でなかった質問は、全員「問題ないです」と回答する「どこに配属されてもいいか」や、8割が「やりがい」と回答する「仕事に何を求めるか」などです。定型的な回答しか得られない質問は、人物像の把握にはあまり意味がないことがわかりました。

 効果的だったのは、「これまで経験したプロジェクトでどのような失敗をしたか」や「そのとき自分はどう考え、どう対応したのか」といった、個人の経験とそこから得た教訓や改善策を問う質問でした。

篠原:AI面接は、受験者の最初の回答に対してAIがその場で深掘りの質問を自動で継続して行う機能があります。そのため、最初の質問で個人の具体的な経験を引き出し、AIがその後の「なぜ、なぜ」という深掘りを重ねることで、書類だけでは見えない「人間性」がより明確に出てきやすくなります。質問時間の設定も、人柄を引き出すために重要だと感じています。

──AIと人間、それぞれの評価を比較した際に違いはありましたか。精度の面はいかがでしょうか。

篠原:AIは「言語」「非言語」「姿勢」といった多角的な評価をしてくれます。現在は本年度の職員採用試験の面接がすべて終了し、私たちの評価とAIの評価を比較検証している段階ですが、「全く違うということはなく、割と近いな」という印象を持っています。

造田:特にAIの5段階評価で不適格としているC以下と判定された受験者は、私たちが見ても「間違いない」という評価です。今後はボリュームゾーンであるB評価の中で、どの項目をどう判断するかという分析に取り組んでいきます。AI面接の評価精度がさらに向上すれば、一次面接の評価の大部分をAIに任せられるようになり、私たちは最終面接に集中できるようになるのではないかと考えています。

1on1ミーティングでの活用も視野に

──AI面接の導入を皮切りに、今後、人事業務で取り組んでいきたいDXやAIの活用について教えてください。

篠原:職員の「1on1ミーティング」へのAI活用を検討したいです。これまで上司は部下と、目標管理だけでなく、キャリアや私生活なども含めた「人となり」を理解するための面談を行ってきました。

 ここにAI面接を活用することで、まずAIが部下の基礎的な情報や考え方を事前に引き出し、それを上司が確認した上で面談に臨むことができます。そうすることで、面談の場で「より肉付けをした、深い質問」ができるようになり、職場の風通しがよくなると考えています。風通しがよくなることは、間接的に業務効率化や生産性の向上につながると信じています。

造田:また、このAI面接を全学の各部署が行っている非常勤職員などの小規模な採用活動にも横展開していきたいと考えています。全学にAI面接の有用性を周知し、小さな採用でも活用してもらうことで、大学全体の業務効率化をさらに推進できると考えています。

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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